異なる様々な部屋が1本のスロープでなだらかな道のようにつながった、“small village(スモール・ビレッジ)=小さな村”という名前の新園舎。1000坪の敷地に広がる自然あふれる保育園は、さらに地域と一体となって子ども達が遊びと創造の世界に没頭できる“村”へと生まれ変わった。

地元の人達や専業ママもつなぐ給食カフェ

 約1年ぶりに訪れた東京・町田にある「しぜんの国保育園」(前回参照)。すぐ横にはお寺があり、寺の住職でもある理事長の設立した社会福祉法人東香会が運営している認可保育園。子ども達は林の中から園庭まであちらこちらを駆け巡る。

 この園は、大人がつくらせたものではない、子ども達の日々の楽しさ、体の発達をそのまま家族と共有できる運動会や、子ども達から自発的に生まれてきたアートの展示会を開催するなど、自由な発想で保育を行っている。

園庭から見た新園舎。独立しているように見える建物も、緩やかなスロープの廊下でつながっている
園庭から見た新園舎。独立しているように見える建物も、緩やかなスロープの廊下でつながっている

 その園が昨年4月に新しい園舎で生まれ変わった。

 “small village”と名付けられた園舎は、いくつもある小屋のような部屋が1本の緩やかなスロープでつながり、名前の通りヨーロッパの田舎の小高い丘にある小さな村のよう。その一方で、それぞれの空間がコンセプトを持って独立し、異なる世界観をつくっている。独立しているようで、みんながつながっていて一つの温かな村となり、その中で子ども達が思い思いのストーリーを描いてのびのびと過ごしている。

 真っ白で広く、光あふれる入り口を入るとすぐに、10席ちょっとのコミュニティカフェがある。予約をすると、レシピ本も出版されているこの園の給食ランチを食べることができる。集まるのは、保育園の保護者だけではない。地域の人達や、園に通っていない未就学児を連れたママ達の憩いの場でもある。

明るいコミニティカフェは、スタッフルームのすぐ隣。保育士にちょっと相談、なんていうことも気軽にできそうだ
明るいコミニティカフェは、スタッフルームのすぐ隣。保育士にちょっと相談、なんていうことも気軽にできそうだ

 コミュニティカフェまでは誰でも出入りできるが、セキュリティーが施された自動ドアで保育園の入り口とはきちんと分けられている。光あふれる広い入り口は、「送ってきたお母さんやお父さんが、親の顔から働く女性・男性に切り替わる場所。だからこそ、気持ち良く迎え入れ、送り出してあげる場所であるべき」と、理事長が常に大事にしてきた気持ちが反映されているという。

入り口を入るとすぐに明るい渡り廊下と下駄箱
入り口を入るとすぐに明るい渡り廊下と下駄箱

 初めてこの園に来た人は、「これが認可保育園なのだろうか」と驚いてしまうかもしれない。実際に1年前に訪れたときにもそう思ったが、今回は新しい園舎でさらに園の保育への取り組みが具現化し、訪れた大人も「ここで日々過ごしたい」と思ってしまうような空間ができていた。

次ページから読める内容

  • 子どもが持つストーリーを大事にする
  • 0~2歳は年齢別の部屋割りでゆったり家庭的に
  • コンセプトごとに部屋が分かれ、それぞれの世界が広がる
  • 子ども達の日常から生まれるアートの芽を伸ばす
  • 大人になるために必要な力とは
  • 保育士が笑顔で自信を持てば子どもに伝わる

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