コーヒーの香りと記憶
いつもの公園の角まで来ると、ふわっと香る。「バーキングカフェ」まではあと1ブロックだ。バーキングカフェとは僕がよく通う横浜の自家焙煎コーヒー店だ。休日で手持ち無沙汰にしていた長男を連れ出して向かった。ここに来るたび、風に乗って運ばれるコーヒーの香りを嗅ぐのが習慣になった。
匂いの記憶は鮮烈だ。何十年も前のことだが、高校に入学して初めての下宿。心細かった初日の夜、下宿の先輩が僕にコーヒーを淹れてくれた。入学したての15歳にははるかに大人に見えた先輩。しかも当時見たこともなかったサイフォン式のコーヒー器具で淹れてくれたものだから、その興奮とショックといったらなかった。
初めて飲んだブラックコーヒーの味は苦くて、とてもおいしいとは思えなかったけれど、その「香り」は紛れもない大人の世界の「香り」だった。
息子と一緒にバーキングカフェに来るのは初めてだ。最近コーヒーを飲み始めた長男。結婚以来、毎朝のコーヒーが習慣になっているわが家だが、長男が自分から飲むと言うようになったのはここ半年くらいのことだ。
コーヒー豆の種類は多い、迷いながら選ぶのも楽しみ
次ページから読める内容
- 近所の人達が集まってくる焙煎店
- おいしくコーヒーを淹れるには
- 映画『かもめ食堂』の思い出
- 体がおいしいって反応したのは初めて
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