本連載を担当する小栗雅裕です。「大変なことは半分に、楽しいことは倍に」を合言葉に、DUALで子育てしてきました。息子は2人で、高校1年生と仕事を始めたばかりの22歳社会人。男の子が大人になるとき、さてお父さんはどうする? そんなテーマの連載です。
 僕の持論は、家族は一番気の合う仲間だということ。ですから、大人の扉を開き始めた息子達に、「大人の世界はこんなに面白いぜ!」と伝えたいのです。面白いから一緒に楽しみたい、そんな気持ちでお届けします。
 男の子を育てているお父さんはいずれ通る道ですが、女の子のお父さんやお母さんにも、楽しんでいただければ幸いです。

コーヒーの香りと記憶

 いつもの公園の角まで来ると、ふわっと香る。「バーキングカフェ」まではあと1ブロックだ。バーキングカフェとは僕がよく通う横浜の自家焙煎コーヒー店だ。休日で手持ち無沙汰にしていた長男を連れ出して向かった。ここに来るたび、風に乗って運ばれるコーヒーの香りを嗅ぐのが習慣になった。

 匂いの記憶は鮮烈だ。何十年も前のことだが、高校に入学して初めての下宿。心細かった初日の夜、下宿の先輩が僕にコーヒーを淹れてくれた。入学したての15歳にははるかに大人に見えた先輩。しかも当時見たこともなかったサイフォン式のコーヒー器具で淹れてくれたものだから、その興奮とショックといったらなかった。

 初めて飲んだブラックコーヒーの味は苦くて、とてもおいしいとは思えなかったけれど、その「香り」は紛れもない大人の世界の「香り」だった。

 息子と一緒にバーキングカフェに来るのは初めてだ。最近コーヒーを飲み始めた長男。結婚以来、毎朝のコーヒーが習慣になっているわが家だが、長男が自分から飲むと言うようになったのはここ半年くらいのことだ。

コーヒー豆の種類は多い、迷いながら選ぶのも楽しみ
コーヒー豆の種類は多い、迷いながら選ぶのも楽しみ

次ページから読める内容

  • 近所の人達が集まってくる焙煎店
  • おいしくコーヒーを淹れるには
  • 映画『かもめ食堂』の思い出
  • 体がおいしいって反応したのは初めて

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