親子の間に、大きな認識のギャップ
一方、親の側も不安を感じています。福岡さんによると、アンケートでは「話題を切り出すタイミングが分からない」「きっかけが無い」といった声も多く聞かれるそうです。
「何より不思議なのは、お母さん達が、一度通ってきたことのはずなのに、自分のときのことを覚えていない人が多いのです」と福岡さん。いつごろ、どんなものを着用したのか覚えていないだけでなく、胸が膨らみ始めると痛みがあるといった記憶も薄れていて、子どもが「胸が痛い」と言うので病院に連れていったという人も。親子の間に、大きな認識のギャップがありそうです。
もちろん、自分が小さかったころより変化が早くなっているわけですから、「まさか」という思いもあるでしょう。製品を購入しようにも、今のように子ども向けブラジャーの種類が無かった時代に育っているため、どんな製品を買ったらよいのかイメージがつかめません。白のスポーツブラしかなかったり、親のお古を使っていたという人もいて、せっかく買っても嫌がられるなど、ここでもまた親子のギャップが表面化しそうです。
製品ラインアップは、この20年で変化しています。例えば、ワコールはファーストブラのラインアップを「FAIRY TIARA(フェアリー ティアラ」(http://www.wacoal.jp/fairytiara/)や「プチプリリ」(http://www.w-wing.jp/petitpulili/)というシリーズで展開。先に解説したステップごとに、選べるようになっています。ステップ1の頃は、まだブラジャーの形がイヤという子も少なくないため、ブラジャー機能を持つキャミソールで。色もこの世代の女の子達に人気の高いブルーやグレー、クリームなどをそろえています。シンプルなスポーツブラから、ステップ3ではしっかり支える機能を持った、バストへの圧迫が少ないジュニア用ワイヤーが入ったブラジャーなどもあります。
10歳前後は、子どもから大人に成長していく重要な時期。ブラや初潮の話題は「自分の子には、まだまだ早い」と思っていても、子どもは悩んでいることがあるかもしれません。「一緒に下着、買いに行ってみる?」と誘ってみることも必要かもしれません。体の変化は話題にしにくい面もありますが、それを乗り越える一つのきっかけとして「1/2成人式」を祝ってあげたり、式のようにファーストブラを記念にプレゼントしたりするというのも良さそうです。