大人用のブラジャーは成長の妨げに

 ここで、子どものバストがどんなふうに成長していくのか教えてもらいましょう。

 ステップ1は、乳頭が少し膨らみ始めた時期。内部から広がるように膨らんでいくため、皮膚が非常に敏感になっており、繊細で傷付きやすいのです。服にこすれるだけで痛みを感じることもあります。そのため、この段階の一番の目的は保護。直接こすれないようにすることで痛みを軽減できます。調査によると、10歳でステップ1に到達しているのは20%ぐらい。11歳では46%がステップ1以降の段階になっているそうです。

 ステップ2は、乳房の内部組織の成長が進み、中にコリコリとしたしこりができてくる時期。塊があるため、ちょっとした物や腕が当たっただけでも痛いのです。ただし、塊はまだ小さく、ホイップしたクリームがヒュッと立ったような円すい形。ステップ2の状態だと、塊はまだ小さいですが、走ったり運動したりすると、バストは少し揺れ始めます。この揺れが、痛みや引きつれを感じさせるため、揺らさないようブラジャーで安定させておくことが必要です。

 ステップ3になると、完全にバストが揺れるようになります。バストは、乳腺と靭帯で構成されているため、美しい形を維持するには、組織を伸ばさないことが肝心です。揺れると伸びてしまうので、そうならないようにブラジャーは下から支えて体にフィットさせる形状になっているのです。ステップ3では揺れないように支えるだけでなく、膨らみがはっきり分かるほどになってきますから、防犯面からも着けることが大事です。

 基本的には、初経から約3年で、バストの内部組織の成長は完了します。つまり約4年にわたって、胸の形や大きさが変化し続けていくわけです。この間、成長に必要な栄養を運ぶ血管が活発に活動しており、ワイヤーが入ったブラジャーなどで押さえ付けてしまうと、成長を妨げることに。そのため、大人用のブラジャーを着けるのはNG。小さ過ぎても大き過ぎても良くありません。靴と同じで、成長するサイズに合わせて、適したものに変えていくことが必要なのです。

 ところがこうした変化について、子どもは知識や情報が少ないため、自分が変なのだと思って黙っていたり、言い出しにくかったりするという状況があります。大人の話に反発して、なかなか素直に話せない年ごろでもあります。