遺伝子は体を作るタンパク質の設計図

 まずは遺伝子の基礎知識をおさらいしておきましょう。

 私達の体は60兆個もの細胞でできています。それらすべての細胞には核があり、核の中には半分を父親から、もう半分を母親から受け継いだDNAがあります。生物の時間に教わる「二重らせん構造」のアレです。

 ちなみに、「遺伝子」とはこのDNAに載っている膨大な遺伝情報(つまりソフトウエア)のこと、「染色体」とは細胞分裂のときに姿を現す、折り畳まれた状態のDNAのことです。

 このDNAの役割を大ざっぱに言い表すと、「体を作るタンパク質の設計図」ということになります。

 私達の体は10万種類ものタンパク質の複合体です。タンパク質はどれもたくさんのアミノ酸が組み合わさったものであり、DNAにはそのアミノ酸の作り方(成分を並べる順序)がびっしり書き込まれています。

 一つひとつの細胞は、両親から受け継いだこの「設計図」に従ってアミノ酸を、次いでタンパク質を作り、そのタンパク質が体各部の多彩な組織を形作ったり、様々な調整をしたりしているわけです

 私達人間が持つ遺伝子の数は基本的にみな同じですが、その並び方は人それぞれ違います。一人ひとりに個性があるのは、全体の0.1〜0.4%ほどと言われるその微妙な違いのために、作られるタンパク質の種類や作るタイミングが少しずつ違うからです。