遺伝子検査の進歩が人気女優の決断を励ました
遺伝子検査と聞いて、アメリカ人女優アンジェリーナ・ジョリーの「ある決断」を思い起こす方も多いことでしょう。
検査の結果、乳がんを発症するリスクが極めて高いことを知り、彼女は乳房の切除に踏み切りました。母親もがんで亡くなっていること、乳房再建の技術が進んでいることなどに背中を押されたにしても、まだ健康な乳房を切除するという決断は途方もなく重いと言わざるを得ません。
その心中を思うほど、一方で興味を引かれるのは、遺伝子検査の進歩です。彼女がそこまでの重い決断を下したのは、この新技術による「未来予測」の信ぴょう性がいかに高いかの証しと言えるでしょう。
「ほんの10年前まで、遺伝性の乳がんを心配する方に言えることは、『こまめに検診を受けましょう』の一言だけでした」と話すのは、認定遺伝カウンセラーの四元淳子さん(お茶の水女子大学大学院、人間文化創成科学研究科助教)です。
「しかし、アンジェリーナ・ジョリーさんは90%近い確率で乳がんになると診断され、だからこそ思い切った対処ができました。以前なら考えられなかった選択肢が彼女に示されたのは、遺伝子の情報に基づく様々な研究の画期的な成果だと思います」
四元さんの言葉通り、近年、遺伝子の研究は目覚ましく進み、その勢いはさらに加速しているのです。