今年2016年4月に本格施行予定の「子ども・子育て支援新制度」。「みんなが子育てしやすい国へ」とキャッチフレーズを掲げ、男女共に仕事と子育てを両立できる社会を目指した動きが活発化しています。DUAL読者にとっても、人ごとではない少子化対策。内閣府による「新たな少子化社会対策大綱策定のための検討会」構成員でもある日経DUAL羽生祥子編集長が、同検討会のメンバーに、「少子化対策に本当に必要なものは何か?」というテーマについて、会議ではなかなか聞けない本音インタビューを敢行します。

 第1回は、「婚活」という言葉の生みの親でもあり、未婚・晩婚、少子化、女性活用、女性のライフスタイルやキャリア、ワークライフバランス、男女共同参画などをテーマに活躍している少子化ジャーナリスト・白河桃子さん。少子化時代を打破するためにも重要な、学生から結婚適齢期前後の女性の意識についてうかがいました。

ワークライフバランスを求めて仕事を辞めてもラクな仕事はない

―― 日経DUAL読者にとっても「少子化問題」は身近な問題ですし、これから結婚や出産を考えている後輩のこととしても人ごとではありません。自分が通り過ぎたこと、例えば保育園の待機児童についても、「自分の番が終わったからいいや」ではなく、「子どもたちが大人になる頃、どんな社会になっているのか?」という問題意識を持っている読者は多いです。

白河 通常は、仕事と両立している方達は、自分自身の仕事や、子育て、家事で手いっぱいになってしまう時期ですよね。そんな時期にも意識の高いDUALの読者のような方達がいるのは素晴らしいことですね。

―― 企業に勤めていると、起きている間のほとんどの時間を会社で過ごします。これから結婚や出産を考えている人が、「働いて寝るの繰り返しの毎日なのに、どうやったら子どもなんて産めるのか」という相談を受けることもあります。私も、「あの女の子、あんなに働いてばかりいて、ちゃんとデート行ってるのかしら」なんて、姉御としてのいらぬ心配もしてしまいます(笑)。今日は本音でいろいろとお伺いできればと思います。

 これまで、会議で白河さんのお話を伺っていて、今の女子大学生のマインドは以前とは変わってきているんだなと感じました。キャリア志向が新鮮ではなく、それよりも生活を安定させたいという意見が多いそうですね。

白河 はい。大卒の場合、よっぽど仕事を選ばなければ正社員になれると思いますが、仕事を選んで正社員になれない方もいますし、正社員になっても、一度辞めてしまうとなかなか正社員には戻れないという状況があります。女性全体では経済的に安定していない女性はまだまだ多く、非正規雇用の方は、「結婚・出産」よりまず「正社員」になりたいという思いが強いと思います。

―― 出産より正社員…。リアルな意見で、気持ちは手に取るように分かります。

白河  ワークライフバランスが悪いから辞める、営業職になってみたもののつらいから辞めるとなると、その時点で楽な仕事はもうほとんど残っていません。「やっぱり事務職になりたい」と思っても難しいですよね。高卒女性に関しては非正規雇用が5割ですし、地方に至っては、女性の正規の仕事はほとんどないという状況です。

―― 正社員になったとしても、早く結婚して出産したいという大学生も多いんですよね。