保活で困っていたら、勤務先が託児所を新設

──現在は仕事に復帰されていますが、保育園に預けているんですか?

 実は子どもが生まれる前から保育園を探し始めていたんです。「生後3カ月から預けられる」「0歳児のほうが入りやすい」などいろいろな話を聞いていたので、待機児童のことは知識としては持っていました。現実は想像以上でしたね。とりあえず見学させてもらおうと思って保育園に電話したら「今の時点で数十人待ちですが、それでも見学されますか?」なんて言われてしまいました。

 それで困っていたら、勤務しているクリニックのボスが託児所をつくってくれたんです。うちのクリニックは医師やスタッフ含めて30人ほどが勤めているのですが、そのうち30代の5人が次々と妊娠したのを機に、ボスが“イクボス”になってくれました。おかげで、クリニックに勤務しているときは息子を一緒に連れていって、託児所で見ていてもらえます。

 妊娠したスタッフを切り捨てて新人を一から育てるよりも、出産したスタッフに戻ってきてもらって長く勤めてもらうというのは、とても合理的な判断だと思います。私も他のスタッフも「絶対辞めない! ずっと働き続けたい!」という気持ちになりますし。経営者や企業のトップは、もっと女性の働き方を考えるべきだと思いますね。

──現在、仕事はフルタイムなんですか?

 今は時短勤務ですが、もう少し息子が大きくなったらフルタイム勤務にしたいですね。子どもを産む人、産まない人、産んでも働く人、働かない人。女性にはいろいろな選択肢があるべきですが、私は産みたいし、産んでも働きたいんです。

 そのためには子育てを母親だけに頼らない体制が必要になると思います。子育てという大変な仕事を、主婦などの報酬のないシャドー・ワークにしてしまっている日本はすごくいびつだと思います。子どもが生まれて切実に感じました。

 「イクボス」の助けもあり、仕事に復帰した友利さんですが、働き始めると予想していなかった声が耳に届きます。後編(「友利新 母親が働くのは当たり前だった」)では、育児での悩みや母親が働くことの意味について、話を伺います。

(文/福村美由紀 写真/中川真理子)