経営学の修士課程、専門職学位課程を修了することで与えられる学位「MBA」。一昔前は企業から送り出されて、あるいは休職・退職して海外に留学し、取得するのが一般的でした。しかし、ここ10年ほどで国内大学院にも経営学専攻のコースが設立され、働きながら平日夕方や土日に通学し、MBAを取得できる環境が整っています。近年は女性の受講生も増加。その中には、仕事と育児を両立しながら、また、育児休暇期間を利用して通学しているワーママ受講生もいます。大学院の現場と、ワーママ受講生の声から浮かび上がる現状をまとめたのが、今回の特集「MBAに挑戦するワーママが増えている理由」。第1回では、5つの大学院に対する調査結果と、2人の育児中MBAママの言葉を紹介します。

 ワーママ達が今、どんな目的で、どのように学んでいるのか、MBAコースを設けている大学院に聞きました。取材に協力してくれた大学院は、青山学院大学大学院、グロービス経営大学院、一橋大学大学院、法政大学大学院、明治大学大学院の5校です(五十音順)。

MBAコースで学ぶ受講生の3~4人に1人が女性になった

画像はイメージです
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 全受講生に占める女性の数の変遷を尋ねたところ、ほぼすべての大学院から「増えている」との回答が寄せられました。

 「3年前は24%だったが、現在は36%を占める」(青山学院大学大学院、以下:青山学院)

 「2009~2013年は10%台で推移したが、2014年は21.1%に上昇」(一橋大学大学院、以下:一橋)

 「単科生制度(※ 入学前に基本科目を1科目から先行受講できる制度)利用者も含めた女性数は、ここ2年間で1.3倍に増えている。女性比率は、2012年は21%、2014年は23%。特に東京校では伸びが大きく、27%に達した」(グロービス経営大学院、以下:グロービス)

 「2010年・12%、2013年・28%、2014年・23%」(法政大学大学院、以下:法政)

 このように、大学院やコースによって差はあるものの、MBAコースで学ぶ受講生の3~4人に1人が女性という状況になっています。

 その背景には政府主導による女性活躍推進の動きがあります。昨今、女性にとって企業内で昇進するチャンスが広がってきたのです。育児サポートなど、働く女性を助けるインフラ整備も進められています。こうした環境の中、女性のキャリアアップ志向が高まり、MBA取得によってチャンスをつかもうという女性が増えているといいます。

 大学院側も女性向けの入学案内セミナーを開催したり、女性在校生やOGによる進学相談の場を設けたりするなど、女性を呼び込むプロモーションを強化しています。