さらなる進化が期待される、学ぶワーママのサポートシステム

一橋大学大学院でMBAを取得した阿部美紀子さん
一橋大学大学院でMBAを取得した阿部美紀子さん

 国内大学院のMBAコースでは、企業に勤務しながらの通学をサポートする制度が設けられています。

 学校によって違いはありますが、授業を欠席した場合に他の日に受講できる「振替受講制度」、通学を一時中断できる「休学制度」などがあります。休学制度は最長2年間程度に設定されており、長期出張や繁忙期などにも対応できるほか、在学中に妊娠・出産などを迎えた女性にとっても安心な制度と言えます。

 2006年3月に一橋大学大学院でMBAを取得した阿部美紀子さんの場合、2002年11月に入学を決めた直後に妊娠が分かりました。翌年8月に出産を控えながらも、4月に受講を開始。通常の2年間ではなく、3年間で修了する計画を立てたそうです。出産前には平日ほぼ毎日通学してなるべく多くの単位を取得、出産後はペースを落とし週2~3日通学するようにしていました。

 「同級生達とミーティングをしながら課題を進める機会もありましたが、子どもの世話や看病で外出できない場合には資料をメールで共有して、電話で参加させてもらいました。メンバーの皆さんのほうからそういったやり方を提案していただけたんです。また、2人目の出産と修了時期が重なったため、試験時期も配慮してもらいました。家族はもちろん、先生や学友達のサポート無しには、やり遂げることはできなかったと思います」

 この他、在宅で学べるオンライン受講システムを設けたり、ママ受講生のための託児サービスを検討したりする大学院もあります。ワーママが学びやすい環境はさらに進化していきそうです。

 次回以降は、前出の吉井さん、阿部さんがどんな思いでMBAを目指し、仕事・家庭(育児)・勉強の時間をどのようにやりくりしてきたかを紹介します。

(ライター/青木典子、撮影/鈴木愛子)