「育児中だからといって、自分に必要な勉強は諦めない」

 MBAを受講する女性の中には、育児と仕事を両立している人、育児休暇中に通学する人もいます。

 「妊娠中や育児中にMBAを取得した方や、育児休暇後のキャリアを考えて入学した方もいます」(明治)

 「育児と仕事を両立しながら、あるいは育児休暇中に通学している方は、在学中の方だけで20人ほどいらっしゃいます」(グロービス)

 「入学した年に2人目の子を出産された方、2人目妊娠中に書き上げた修士論文が高い評価を得て、優秀論文発表会では臨月でプレゼンされた方、在学中に1人目を出産し、卒業時には2人目の臨月を迎えていた方などが挙げられます」(一橋)

 ただでさえ大変な育児期間中。仕事を続けながらさらに、2年ほどの期間を要するMBA取得を目指すというのは、明確な目的と強い意志があってこそだと言えるでしょう。

 「子どもを産んだことでキャリアを諦めるのではなく、家庭でも仕事(キャリア)でも自分の望む姿を実現したい、という方が多いですね。また、育児中は仕事にかけられる時間が限られるため、『短い時間でも質の高い仕事ができるように』という声もあります。『後輩女性のロールモデルに自らがなる』と決意して入学した方もいらっしゃいます」(グロービス)

 「『勉強したいタイミングと出産がたまたま重なっただけ。パートナーはその状況を理解してくれているし、どちらか1つを選ばなければならないわけではない』という考え方が見受けられます。純粋に『学ぶこと』に向き合っているから、周りの人々もその熱意に素直に共感し、支えるのではないでしょうか」(一橋)

グロービス経営大学院に通学中の吉井晶子さん
グロービス経営大学院に通学中の吉井晶子さん

 実際にMBAコースで学んでいる女性にも話を聞いてみました。  

 現在、グロービスに通学している吉井晶子さん(2014年4月入学)は、大手飲料メーカーの企画部に勤務。初めての育児休暇から復帰して1年後、娘が2歳のときに入学を決意しました。

 「復帰直後にとても多忙な職務を担当することになり、時間の制約というものをシビアに感じたんです。この制約がこれからも続いていくことは目に見えている。ならば、それまでの自分の仕事のやり方を根本的に変える必要があると痛感しました。限られた時間で最大限の成果を上げ、組織の中でバリューを生み出していくためには何を身に付けるべきだろう、と。これまで複数の部門、職務を経験したので専門性は薄い。であれば『ジェネラリスト』の道を徹底的に極めようと思い、経営全般を学べるMBAを目指すことを決意しました」(吉井さん)