深刻な虐待に対応しているうちに、小さい案件が大きくなる

 児童虐待への対応はとても時間がかかるものなんです。小さい虐待が何件もあって、深刻な案件に対応しているうちに、小さかったはずのものが大きくなってしまう。いたちごっこです。それを痛感する経験を何度もするうちに、市役所として虐待対策をするためには、目の前の案件への対応をしつつも、それ以前の虐待予防、つまり子育て支援にいかに力を注ぐかが重要だと思うようになりました。

 我々は小さい案件でも大きい案件でも、保護者の方を責めるつもりは全くありません。「やむにやまれずやってしまったんだと思います。同じ問題が起きないように、困っていることがあったら教えてください。一緒に考えていきましょう」という支援路線でいくのですが、保護者は“虐待”という単語を耳にしただけで拒否反応を起こしてしまう。

 虐待を受けても、頑張って普通に生活していくお子さんもたくさんいらっしゃいますが、中にはやはり、生活のしにくさ、子育てのしにくさが引き継がれていき、自分が親になったあとにも子どもを虐待する……という“虐待の連鎖”もあります。我々がうまく関わることができて、ご家族と事態を改善できたケースもあります。でも残念ながらその数はそんなに多いとは言えません。

 そういった悪循環を断ち切るには、虐待が起きてからではなく、子育て支援を先行させるしかない。

 その方法を模索する中で、私が出合ったのがCSPでした。最初は、「そんなに効果があることなら、もっと世間に知れわたっているはずだろう」と私もCSPに対してやや懐疑的でした。でも、「疑う前にまず実践してみよう」と思い、自分の娘を叱るときその方法を一度試してみたんです。すると、いつもとは全く異なる実感があり、目から鱗が落ちる思いがしました。

* 次回は、児童虐待の通報が増加していることについて語ります。

(ライター/大友康子、撮影/稲垣純也)