最初は自分が“対・子ども”の仕事をするなんて思っていませんでした。大学を卒業すると、まずは証券会社に入社。その後は、システムコンサルタント業に転職。その後、縁あって茅ヶ崎市の公務員試験を受けて、26歳で入庁しました。
配属されたのは職員課。「採用試験で点数がいい人を採るのではなく、民間企業と同じようにエントリーシートを導入しましょう」「リクナビに求人広告を載せましょう」など、前例の無い提案をどんどん出していきました。今思えば、転職してきてから間もないペーペーが生意気ばかり言っていたなあと思います。新人は当時「3年で異動」と言われていましたが、その通り、異動になりました。そこで、配属されたのが今の部署、「こども育成相談課家庭児童相談室」でした。
児童虐待問題の悪循環に直面。有効な予防策を模索し、CSPに出合う
家庭児童相談室という部署の主な業務は、市民から寄せられる子どもの育て方や子ども関連の手続き・サービスの利用の仕方など、子育て全般についての相談に乗ることです。2005年からは法制的に児童虐待の対応も市町村で始まっていたのですが、私が配属された2007年には、まだ役所は「どう対応すればいいか分からない」状況でした。
ただし、児童虐待の認知度が世間で高まってきた時期でもあり、何か問題があったときには、市役所にも通報が来るようになっていました。私は現場でノウハウは持たないながらも、児童相談所の人に教えてもらいながら、何とか児童虐待への対応をしていました。
例えば、「朝、保育園に行く前にあまりにも忙しくて気が立って、初めてちょっとだけ子どもを叩いてしまった」というケース。園の先生が園児から話を聞いたり、園児の顔にあったひっかき傷に気づいたりして通報してくれることも少なくありません。日々対応していく中で、そういった「虐待とまでは言えないけれど、少しサポートが必要かもしれない」という“グレーゾーン”があることに気付きました。これを見逃して放っておいてしまうと、1~2年、早いケースでは数カ月後には、大きな虐待問題へと進んでしまう可能性があるんです。