旅先で、いつもとは違う経験をする子どもの姿に成長を感じるママ・パパは多いことでしょう。今回は、旅を通して子どもの成長を育む「旅育」について、昨今の子ども達を取り巻く環境も踏まえながら紹介していきます。

  

  こんにちは。旅行ジャーナリストの村田和子です。本連載の第1回では家族旅行の大切さや意義を紹介しましたが、ここからは、本題の「旅育」がテーマです。

 旅を通して子どもの生きる力を育む旅育は、楽しい家族旅行を通じての学び。知識の習得だけではなく、人格形成や家族の絆を育むことにも重きが置かれており、科学的に実体験が大切と言われる「3歳から9歳」が旅育の適齢期です。

 今回は旅が子どもの成長にどのようにプラスに働くか、社会環境や教育改革なども視野に入れ考えていきたいと思います。

旅では子どもが疑問を口にする機会が多くなる

 幼いころから子どもと一緒に旅をしているママ・パパは、自身の経験から「旅が子どもの成長に良い」という点に共感されることと思います。

 一面の花畑に目を輝かせ、虫捕りに夢中になり、夜は満天の星空に感動する……。旅先では、日常とは違う環境の中、自然や生物と触れ合う機会があり、少し大きなお子さんなら、遺跡を見学したり、伝統工芸を体験したりという経験もされているかもしれません。初めての体験も多く、日常とは違う表情や笑顔を見せる子どもも多いことでしょう。

菜の花公園(長野県飯山市)には菜の花の迷路も
菜の花公園(長野県飯山市)には菜の花の迷路も

 旅育の一番のメリットは、このように自然・歴史・文化など、「本物」に触れる体験ができることにあります。本物を見ることで、経験にひもづく知識を得られるだけではなく、子どもの五感が刺激され、想像力や感受性など様々な力が養われます

 また、旅では子ども自ら、疑問を口にする機会も多くなります。実は子どもの「なぜ?」「どうして?」という疑問こそ、旅育のチャンスなのです。一緒に向き合うことで好奇心・探究心が芽生え、「知る」ことの喜びを体感します。本来、「分からないことを知る・学ぶ」というのは、年齢問わずうれしいことのはず。でも昨今は、机上の学びが先行し、「学ぶこと」にマイナスイメージを持ってしまう子どもも少なくないようです。

 「学び」をプラスに考えられるかどうかは、子どもの長い人生に非常に大きな影響を及ぼすのは想像がつくところでしょう。旅先での小さな好奇心を大切にすることは、子どもの日常生活でのモチベーションへとつながります