「○○しなさい!」を「どうしたらいいと思う?」に変えてみる

 「子どもが主体になって気持ちを伝える訓練は、幼児期から始めておくといいと思います。食事や着替えなど生活のすべてにおいてお世話が必要な乳幼児期には、『○○しなさい』と親からの一方的な言葉が中心になりがちですが、できるだけ『どうしたい?』『どうしたらいいと思う?』と子どもに考えさせて、意見を言わせるコミュニケーションを心がけてください。成長に応じて、子どもに判断をゆだねる部分を少しずつ増やしていくことで、自分の考えを親に伝える力が身につき、習慣化していきます」(生重さん)

 親が聞くに徹するコミュニケーションは、子どもが親に密着している小学校低学年までに育んでおくのが理想だが、「しまった! 時期を過ぎてしまった…」という人も、今からでも再構築をすればいい。

 とはいえ、ある日突然、「○○ちゃんはどうしたいと思っている? どんな話を聞いてほしい? お父さんとお母さんに、何でも話してみなさい」と言っても、子どもは戸惑うだけ。そこで、生重さんと臼田さんが口をそろえておすすめするのが「週に一度の家族ぶっちゃけトーク会」だ。その方法とポイントについて、次回、詳しく紹介しよう。

(ライター/宮本恵理子)

臼田明子

臼田明子

昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。夫のオーストラリア海外赴任に帯同するためNEC退職。子育ての傍らシドニー大学大学院修士課程に入学し、ジェンダー論を学ぶ。留学中に第二子を妊娠し、休学して出産。その後論文を書き上げ、卒業。ニュー・サウス・ウェールズ大学大学院博士課程修了、博士号(PhD)を取得。社会学博士。博士論文はドイツの出版社から出版。著作は共著で「子どもの放課後を考える」(2009:勁草書房)、「学童保育指導員の国際比較」(2014:中央法規)等。論文、学会発表、講演等多数。川崎市のボランティア子育て支援員を務める。

臼田明子

生重幸恵

特定非営利活動法人スクール・アドバイスネットワーク理事長。一般社団法人キャリア教育コーディネータネットワーク協議会代表理事。文科省第7期中央教育審議会委員。PTA会長時代から学校の支援を積極的に行い、その経験により区内の他校PTA 会長経験者とともに同法人を設立。全国の教育委員会・PTA等主催研修会で講師を務め、「学校支援」「地域活性化」のプロジェクトに参画。企業の教育支援活動の推進にも助力し、社員研修やフォーラム等を実施。 企業の持つノウハウを学校授業につなげるためのプログラム開発を手がける。内閣府の地域活性化伝道師、第8期東京都生涯学習審議会委員、東京都社会教育委員など数々歴任。