古今東西の役に立つ言葉を集める名言ハンター、大山くまおさんが紹介する子育ての名言。今回、紹介するのは、「ダメな夫代表として、ダメ夫を動かすときに、奥様に読んでもらいたい」という、夏目漱石、山本五十六、マーク・トウェインの名言です。

 遅ればせながら、あけましておめでとうございます。ライターの大山くまおです。ワーママの妻と、まもなく3歳になる一人娘を育てています。

 そんな娘が今一番ハマっている曲が、なぜか「ホネホネロック」。今から40年近く前に「ひらけ!ポンキッキ」で発表され、子どもたちの間で大ブームになった曲ですが、ある日、ためしに聴かせてみたら「アナ雪」や「妖怪ウォッチ」を抜いて、一気に心のベストテン第1位を奪取してしまった様子。子門真人は永遠ですね。

 ところで、この文章を読んでいるダンナさんたちにお聞きしたいことがあります。あなたは子育てや家事を「手伝って」いませんか? 「俺、子育てを手伝ってます!」「家事は積極的に手伝ってます!」なんて笑顔で堂々と言っちゃってませんか?

 危険です、危険。子育てや家事を「手伝って」はいけません!

ドラマでも「手伝う」夫にダメ出しが

 今年の1月5日に発表された、サイボウズの「働くママたちに、よりそうことを。」と題された動画の第2弾「パパにしかできないこと」がインターネットで炎上しました。炎上の要因はいろいろ考えられますが、その一つが動画に登場する子持ちの男性が「(子育てを)結構いつも手伝ってるんだけどさ」と言うことに対して、主人公のワーママがスルーしてしまっているということでした。

 「手伝う」とは何事だ、夫なら父親なら分担して当然ではないか、だから働くママたちは大変なんだ、ワーママを応援する動画の作り手がその部分を看過してどうするのか、とみなさん大変怒っているのです。働く女性だけでなく、子育てをしている男性も怒っていたという印象があります。

 その後、「結婚しても男が『イクメン』や『カジメン』に絶対になってはならない理由」というブログ記事も、とてもたくさんの人にシェアされました。この記事の主旨は、先ほどの動画に対して怒っていた人たちと同じく、夫が家事や育児を「手伝う」という意識でいてはいけない、というものです。また、今月から始まったドラマ『残念な夫。』(フジテレビ系)の第1話でも、夫の「手伝おうか」という一言に妻が激昂するシーンがありました。

 今、子育て世帯の夫たちにとって、「手伝う」という言葉はタブーとなりつつあります。

 共働きが当たり前になった現在、いや共働きかどうかは関係なく、家事や子育てを「手伝う」「手伝おうか」などと言っているようでは、夫としても父親としても失格の烙印を押されて当然。もっと主体性を持ち、当たり前のように家事や育児をしなければならない。とても正論だと思います。

 ……ただ、正論ゆえ、なんだか息苦しく感じてしまうのも正直なところ。デキる人がデキない人を正論で一刀両断するのは、傍から見たら溜飲が下がって爽快感があるかもしれませんが、それ以上何かを生むものとも思えないのです。単なる現状追認では何も変わりませんが、スカッとして終わるだけでも何も変わりません。

表面を作るということは、
内部を改良する一種の方法である。

夏目漱石

斎藤茂太『いい言葉は、いい人生をつくる』(成美文庫)