できればおもちゃ売り場ももう少し小さくして(笑)

 またこのキャンペーンには、「男性を誘惑するセクシーな女性」という、男性目線からの一方的な女性像をあたかも普遍的なものとして押し付けていることへ警鐘を鳴らす、という側面もありました。このあたり、女性の声はもとより、移民大国として様々な視点を尊重する国である英国らしくて素晴らしいと思いました。日本では、男性の視点ばかりを意識したメディア展開が多く、これに疑問を持つという発想自体がまだまだ一般的ではないと感じています。

 僕自身、小さい子どもを持つ親として、子どもが日常的に目にするものには注意を払っています。英国に滞在するときは、テスコを毎日のように利用するので、このニュースを知ったときはうれしかったです。ついでに、おもちゃ売り場をもう少し小さくしてくれてもいいかなとも思いました。……ねだられて、ダメと言っては大泣きされる、なんてことも少なくなるので(笑)。

電車の中吊り広告、日本と英国で大きな違いあり

 さて、「公共の場所での環境・子どもの目」というテーマで、前々から僕が日本で気になっていることがあります。それは、電車の中吊り広告。英会話学校など、誰が見ても特に害にならない広告はいいとして、一部週刊誌の中には、下品で過激な見出しや、今回の英国のケースと同じような、セクシャルな女性の写真を扱っているものが少なからずあります。

 英国の電車にはそのような広告は無いですし、チューブ(地下鉄)の通路の広告はおおむねエンターテインメント(映画や舞台、本など)関連です。日本の電車は英国に比べると時間通り来るし、いきなり運休になることも少なく素晴らしいのですが、英国で過ごしてから日本に戻ってきてしばらくは、電車の中刷り広告の下品さにゲンナリすることが多いです

 日本の電車には、自分と同じくらいの大きさのランドセルを背負った小学生が一人で乗っていることも少なくありません。何の規制も無しに、そんな小さな子ども達の目にダイレクトにそのような週刊誌の広告が無差別に届いている、というのが日本の電車環境の現状です。

 刺激的なビジュアルや文字表現を駆使して売り上げを上げるというビジネスの仕組みは理解しますが、それらに触れる可能性がある“小さい目”に配慮するのは、社会の中の大人の責任だと思います