仕事のため一晩中スカイプで会議をすることも

 こうして「皆が笑っている」間にも、ビクトリアはコツコツと努力を続けた。それが今の成功の土台になっていると、『BOF』で語っている。

 「仕事と家庭との両立はとても大変で、睡眠時間は足りないし、特に一番下のハーパー(3歳)はなかなか眠ってくれない。仕事ではコレクションの準備のため、一晩中スカイプでスタッフと会議をすることもありました」

 厳しい環境の中でキャリアを積み重ねたことが本物の自信になった。サマンサタバサやリンダ ファローといった一流ブランドでデザインを経験し、パリス・ヒルトンなどとコラボレーション事業を展開するなかで、彼女はファッション業界のビジネスを基礎から学んだのだ。

 努力が実を結び、2008年には自らの名前を冠したブランド「ビクトリア・ベッカム」のファッションショーを、ニューヨークで開催。2011年にはイギリスで「デザイナー・ブランド・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、徐々にファッションデザイナーとしての実力が認められていった。

 成功の陰には家族のサポートがあった。夫のデイビッドは家事や育児を進んで手伝ってくれる。雑誌『エル』のインタビューによると、夫は朝6時45分に起き、子ども達の食事を用意して学校まで送っていく。現役時代はトレーニングを済ませた後、彼らを迎えに行くのが典型的な一日だったという。

ステキな母でいることは何よりもセクシーでかわいい

 子ども達もまた、家事の時間がなかなか取れない母の状況を理解してくれた。決して料理上手とは言えない自分に「僕達はママが作る料理は愛でできているって分かってるよ」と言ってくれたことを、メディアのインタビューでうれしそうに話したこともあった。目標に向かって生き生きと働く母の姿は、子ども達にとっても励みになっているのだろう。

 仕事よりも家族を優先する妻に対して、夫はメディアのインタビューで「彼女は素晴らしい母親。子ども達は常に忙しい彼女をとても愛しています。ステキな母親であるビクトリアは、何といってもセクシーでかわいいと思うよ」と話している。