日経DUALではスウェーデンで特別取材を行いました。世界経済フォーラムが毎年発表している「ジェンダー・ギャップ指数」の2014年版によると、スウェーデンは第4位(日本は104位)。今や女性が活躍する国の筆頭とされるスウェーデンですが、1960年代まで遡ると男女平等社会は実現されていませんでした。ストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員を務める佐藤吉宗(さとう・よしひろ)さんに、スウェーデンが今日の男女平等社会を勝ち取るまでの経緯と、そこから日本が学ぶべきことを聞きました。

1960年代、スウェーデンの女性の労働力率は50%に過ぎなかった


ストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員を務める佐藤吉宗さん

DUAL編集部 「スウェーデンは女性が活躍している国」というイメージが強いです。

佐藤さん(以下、敬称略) そのイメージは正しいと思います。2013年の労働力率(20~64歳)を見てみますと、日本では男性90.4%、女性69.0%のところ、スウェーデンでは男性88.8%、女性82.9%であり、女性の労働力率が男性に迫っています。

 この背景には、結婚・出産・育児を機に退職する女性が少ないという要因があります。女性の年齢階級別労働力率に注目しても、日本で見られる「M字カーブ」が全く無く、出産・子育ての時期でも8~9割の女性が就業していることが分かります。

 でも、これが元からそうだったかというと、そんなことはありません。1960年の女性の労働力率を見ると、スウェーデンでも50%に留まり、当時の日本と似たような水準でした。さらに、小さな子どもを持つ女性に限って見ると38%にすぎませんでした。これを底上げすべく、政府や労働組合、そして社会全体が様々な対策を打ちました。今のスウェーデンで、女性にとって働きやすい環境が構築されたのは、有効な対策を地道に講じてきたからなのです。

―― 50年も前から、女性の社会進出を後押しする政策に力を注いできたわけですが、その理由はそもそも何だったのでしょうか?

佐藤 スウェーデン人にとって「男女平等」は20世紀を通じて活発に議論されてきた社会テーマの一つでした。「性別が違うという理由だけでどうして女性が差別されないといけないのか」という疑問や、「男性も女性も同じように自分の能力を社会の中で発揮し、自分の望む人生を追求できるようにするべきだ」という考え方は多くの人が持っていました。

 60~70年代に女性の大学進学率が上昇するにつれ、性別の垣根のない平等な社会を求める声は高まり、政府もそれに応えていったのです。確かに、労働力を増やし、経済成長を高めるという考えもあったでしょうが、それ以上に大きな原動力となったのは、公正や社会正義という観点から男女平等を推進していこう、という考え方でした。

次ページから読める内容

  • 育児休業手当の給付期間は1年4カ月 0~8歳まで利用できる
  • 育児休業の取得日数が夫婦間で平等になればなるほど、税金が控除される
  • 社会の変革には“reform”だけでなく、“renorm”も大切

続きは日経DUAL有料会員の方のみ
ご利用いただけます。

日経DUAL会員とは?
有料会員登録すると以下のサービスを利用できます。
  • 有料会員限定記事
    子育て、キャリア、夫婦の連携、家計管理など、共働き家庭のニーズに応える共感ノウハウ記事がぎっしり!毎月の総力特集や連載がスマホで便利に読める共働きマガジンです。
  • おでかけサポートメール
    平日は時間がないからこそ土日は親子で思い出に残るホンモノ体験を!直前でも参加できるとっておきイベントが満載。メールとともに予約が相次ぐお宝情報を毎週お届けします。
  • 共働き応援クーポン
    生活用品から子育てサービスまで、共働き暮らしに役立つ商品が割引きされるクーポンを多数ご用意。記事に加えて「お得」もゲット!嬉しい優待サービスをご案内します。
  • 「教えて!両立の知恵」
    妊娠から育休、職場復帰、小1の壁対策など専門家ノウハウを伝授。子の年齢やテーマで分類されたQ&Aが約300本読み放題、引き放題。賢い共働き家庭に欠かせない大辞典です。
  • ラクラク保育園検索
    保育園の細かな施設情報がキーワードや自治体から検索できる使いやすいデータベース。保育園探しを始める共働き夫婦の「保活必勝ツール」です。
  • あなたの街の保育園事情分析
    入園決定率、認可整備率、園庭保有率など、自治体ごとの保育園事情を深掘り!保活に役立つ情報が満載です。
  • 日経DUALラウンジ
    有料会員限定のオンライン会議室です。質の高いクローズドなコミュニティで情報交換ができます。
  • イベント招待/先行受付
    専門分野の名物講師によるプレミアムセミナーにご招待したり、優先的にご案内したりします。