職業人として仕事にコミットし、親として育児にコミットし、そして市民として社会にコミットする。この三位一体の価値観を男女共に持てるのは、前世代には無い、僕達の力です

 投票以外でも、例えば自治体の審議会に参加できるチャンスがあれば手を挙げてみるのもいいと思います。

 政治家や行政の担当者って「市民の意見に耳を貸さない」というイメージがあるかもしれませんが、全然そんなことありませんよ。実践可能なアイデアはないかと常に求めているものです。ただ、専門外の分野であったり、配置されて間もなかったりで、実践ノウハウが不足しているだけ。

 僕自身も、空き家を生かすことも可能な「おうち保育園」のアイデアを提案し、小規模保育のモデルにしてもらったという実績がありますし、民間がソリューションプロバイダーになり、行政に“パクッて”もらえば、万々歳だと思います。

 さらにもっと簡単なアクションでいえば、自治体のホームページにアクセスして、「市長への手紙」といったメールフォームに意見を書き込むだけでも効果がある場合もあります。実際に書き込む人はあまりいないので、しっかりとロジックが通った意見が届くと、目に留まりやすいんだそうです。

 三位一体感覚を持つDUAL世代が“世代的マジョリティー”として存在感を示し、政策に対して意見を発信していく。そんな意識とアクションによって、日本の保育インフラはこれからもっと良くなっていくはずです。

駒崎弘樹
1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、「地域の力によって病児保育問題を解決し、子育てと仕事を両立できる社会をつくりたい」と考え、2004年にNPO法人フローレンスを設立。日本初の「共済型・訪問型」の病児保育サービスを首都圏で開始、共働きやひとり親の子育て家庭をサポートする。2010年からは待機児童問題の解決のため、空き住戸を使った「おうち保育園」を展開し、政府の待機児童対策政策に採用される。2012年、一般財団法人日本病児保育協会、NPO法人全国小規模保育協議会を設立、理事長に就任。2010年より内閣府政策調査員、内閣府「新しい公共」専門調査会推進委員、内閣官房「社会保障改革に関する集中検討会議」委員などを歴任。現在、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員会座長、内閣府「子ども・子育て会議」委員、東京都「子供・子育て会議」委員、横須賀市こども政策アドバイザーを務める。著書に『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』(英治出版)、『働き方革命』(ちくま新書)、『社会を変えるお金の使い方』(英治出版)等。一男一女の父であり、子どもの誕生時にはそれぞれ2カ月の育児休暇を取得。

(文/宮本恵理子 写真/鈴木愛子)