2015年春から「子ども・子育て支援新制度」がいよいよ本格始動します。制度のポイントはいくつかありますが、定員20人に満たない小規模保育も認可の対象になるなど、より柔軟な保育制度が実現していきます。

 1994年の「エンゼルプラン」に始まり、5年おきに少子化対策の計画が打ち出されるも、待機児童問題解消や育児支援が根本的になされないまま、放置されてきた日本の保育インフラ。まさに“失われた20年”を通過してしまったと言えます。

 今回の新制度については、消費税増税の先送りで当初予定していたよりも財源が減ったという問題があるとはいえ、それでも7000億円分の“おさいふ”がついたということは大きな前進です。

 そう。これまで日本の保育インフラの改善が遅れた最大の要因は、財源が無かったから。医療には国民健康保険がある。介護には介護保険がある。年金には国民年金がある。でも、保育はどこから? 

 医療や介護や老後の年金は誰でもいつかはお世話になる費用ですが、保育は子育てをしていない人にとっては直接関わるサービスではありません。だから、費用をあらかじめ徴収しづらいんです。お金の当てがないから政策の立てようが無かったんですね。

 でも、そんなことを言っていられないくらい保育園不足は深刻になり、少子化は加速しました。不況の長期化によって共働き世帯は増加の一途というのに、「保育園入園100人待ち」なんてざら。怒れる親達が「保育園一揆」まで起こす騒動にもなっています。

 そうして、ようやく重い腰を上げて政府が本気を示したのが今回の新制度であるわけですが、では、そもそもなぜここまで対策が遅れたのか。日本の未来を大きく左右する次世代の育児支援に政治家が本気にならなかったワケ。それはズバリ、「子どもは票にならない」からでしょう。

 これは選挙のたびによく言われることで、政治家が「数が多い高齢者の票を集められる政策を重視する」結果として、若い世代に向けた政策が遅れてしまったんですね。僕達若い世代自身も、「どうせマイノリティーだから声は届かない」と投票すら諦めてしまっている場合が多くあります。