吉岡さんによると、同じ業種でも育休に対する意識や実践は個々の企業によって異なります。また、経営トップの意識改革によって育休などの制度が整っていても、管理職層のマインドセットが変わらず、制度が活用されていないケースも目立ちます。

 また、女性の産後の心身をケアすることで、女性の職場復帰への意欲や貢献意識が高まるということに気づいている企業はまだまだ少数派です。

「喜」を支える土台づくりの大切さ

 うれしいことに、最近の傾向として、夫が妻へのプレゼントとしてマドレボニータに申し込むケースが増えてきているとのこと。「マドレボニータの活動に参加した妻は美しく機嫌がよい」とは男性達の談。「これは設立当時には無かったことです」と、吉岡さんはほほ笑みながら教えてくれました。

 “美しい母親”であることは女性の喜びとなり、その喜びが子どもや家族へとつながり、父親の喜びにもなる。もちろん、ここでいう「美しさ」とは、表面的なものではなく、母となったからこその心身の変化や葛藤に向き合うことで身に付けた、人としての美しさのことであることは言うまでもありません。このことが分かっている男性陣が増えてきたということは、時代潮流の変化の兆しです。

 本コラムで「デュアラー(子育て中の共働き夫婦)」に考えていただきたかった七情の第1弾は「喜」。お話し相手をどなたにお願いしようかと考えたときに、「コモンズ社会起業家フォーラム」と「コモンズSEEDCap」(社会起業家応援プログラム)でご縁を頂いている吉岡さんの顔が真っ先に浮かびました。

 いつも明るい笑顔で産後の「美しい」お母さんの体と心のケアに取り組む吉岡さんのイメージが「喜」だったからです。

 でも、吉岡さんのお話を聞きながら思ったことは、「喜」を支える土台づくりの大切さです。子どもが生まれて家族になる「喜」の土台は、まさに家族である現在そのものなのです。喜びや美しさを一瞬の表面的なものに限定してしまうと、喜びや美しさ自体を失ってしまうこともある。親になる喜びの根元にある夫婦の土台づくりが、将来の「喜」へとつながる。そんなことを学びました。

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NPO法人 マドレボニータ http://www.madrebonita.com/