親になる喜びの根元にある、夫婦の土台づくりとは?
コモンズ投信会長の渋澤健氏による新連載「渋澤 健 チェンジメーカーの7つの感情」
産後の期間は2つのステージに分けて考える
産後の期間は2つのステージに分けて考えるべきだと吉岡さんは指摘します。
1. 【産褥(さんじょく)期】
妊娠と出産による女性の生殖器および全身の変化を妊娠前の状態に戻していく“休養期間”です。通常は6~8週間ぐらいかかります。授乳した場合のほうがホルモンの分泌が活性されるからでしょうか、産褥の経過が早いと言われています。ただ、ミルクを与える、あるいは母乳にミルクを足す混合栄養の場合、母親以外の人も授乳の役割を担えるため、母親の負担を軽減し母体をゆっくり休ませることができるという考え方もあります。
この安静と養生が必要な期間に、実は母親は色々なことを要請されます。吉岡さんは言います。「出産直後、病院は赤ちゃんのおむつの替え方などを指導してくれますが、なぜ、お父さんにも指導しないのか、私は疑問を持ってしまいます」。
確かに私自身、おむつ替えの指導は病院ではなく、妻から受けた記憶があります。息子のときは、ウンチの菌がおチンチンから入らないようにお尻は前から後ろに拭くといったことまで教わりました。やり始めると、そんなに大変なことではないのですよね。一時は3人の子どものおむつを私一人で同時並行で替えたこともありました。
そういう意味では、吉岡さんは「技術の伝達」の重要性よりも、そもそも、おむつを替えることがお母さんの役目となっている社会の常識に対して疑問を持っているのでしょう。私の中にも「おむつ替えは私の仕事ではない」という感覚がありました。妻の仕事を「手伝って」いるんだ、という意識が働いていたことは確かであり、それが、もしかすると、妻にも伝わっていたのかもしれない。今から考えると、そう思えてなりません。
2. 【リハビリ期】
「1」の安静と養生の期間が明けると、マドレボニータが提供するボディーケア&フィットネスプログラムなどを活用するのに適した期間に入ります。「美しい母」の体を取り戻すためにはダイエットではなく、適度な有酸素運動のほうが大切なのです。
ただ、ジョギングやエアロビクスなど、通常の運動は産後のデリケートな体に負担を掛けてしまいます。マドレボニータでは、バランスボールなどを使って股関節や膝などの関節を保護しつつ、産後の体のゆがみなどを取り除きながら、場合によっては赤ちゃんを抱っこして、気持ちよく汗をかく運動を教えます。
また、産後に体を適切に動かすことによって体調を整えることは、メンタル面の向上にもつながります。出産後のホルモンの状態が変わるために生じる「マタニティーブルー」は産後1カ月間ぐらいと言われていますが、体が不調のままでは出産の喜びが損なわれてしまいます。