日本では、産後の体や心に対するケア制度&サービスが手薄

 吉岡さんは、この社会的課題を問題視して、およそ10年かけて独自の産後のボディーケア&フィットネスプログラムを開発し、2007年にマドレボニータを設立しました。一言で言えば、出産の喜びを最大化する、母親の心身に対するケアの提供です。

 「おめでとう」と周囲から祝福されているのに、産後に気持ちが沈んで悲しくなったり、イライラしたり、罪悪感に苦しんだりする母親が、実は多いようです。父親は子どもをつくるときに自分の体には変化が無いので、改めて教えてもらわなければ気づかない心境です。「なんで、妻に急に怒られるのか、ワケが分からない」。当時、私も何度かそう思ったことがありました。

 日本は妊娠・出産による死亡率が低く、妊娠中は検診制度が整っている先進国にもかかわらず、出産後の母親の体、そして、心のケアの制度やサービスが手薄になる傾向があるようです。

 出産は病気ではありませんが、母親の体に大きなダメージを与えることは確かでしょう。その影響には個人差があるようですが、出産した赤ちゃんと同じぐらいの大きさの胎盤という臓器が体から剥がれて出てくるわけですから無理もないです。分娩室で出産に立ち会った自分は、その実物を目にしただけで衝撃を受けました。