共働き世帯にとって保育園や学童の運営など、子育て支援を担う自治体は頼りになる存在であってほしいもの。このたび日経DUALでは、読者に代わって、自治体の首長への突撃インタビューを開始しました。最初は東京23区に取材を依頼し、区長に質問をぶつけます。

今回は、東京23区で唯一「消滅可能性都市」と名指しされたニュースも記憶に新しい豊島区。豊島区で育ち、古本店経営を経て区長に当選して以来、財政難など数々の課題を乗りきってきた高野之夫(ゆきお)区長は、若い女性定着のため大規模“女子会”を開催する、専任の課長を中心に2年後までに保育園を10園増やす計画など、素早い対策を打っていました。「消滅なんてさせない!」と職員の士気も高まる、豊島区の子育て支援策とは?

高野之夫 区長

1937年豊島区生まれ。豊島区立池袋第五小学校卒業、1960年立教大学経済学部経済学科卒業。1983年5月~89年6月に豊島区議会議員、89年7月~1999年3月に東京都都議会議員を歴任し、99年4月、豊島区長に就任。2011年4月、豊島区長4選。

専任の担当課長が保育園を誘致し、保育受け入れ枠を2年で1000人増に

高野之夫・豊島区長
高野之夫・豊島区長

DUAL編集部 DUAL世代が関心を持っているのは、やはり待機児童問題です。2014年の豊島区の待機児童は240人ですが、今後どのような対策を取っていくのでしょう?

高野区長(以後、敬称略) 財政改革で保育園・保育所や人員を減らしたのですが、2008年まで待機児童はいなかったんです。でも、2008年で待機児童が50人になりました。待機児童の数が50人を超えると保育計画を出して国の指導を受けなければならないという決まりがあります。そのため、豊島区では2008年から待機児童対策が始まりました。

 2年後までに、0~5歳児の認可保育園・保育所を10園増やします。待機児童は間違いなく増えていくことが見込まれているため、待機児童が1000人増えても対応できるようにするのです。

―― 新たに設ける10の保育園については、場所や規模などが確定されているのでしょうか?

高野 豊島区は土地に余裕が無いため、園庭のある施設の建設はハードルが高いのです。でもそこで諦めてしまったら、絶対に保育園・保育所を増やすことはできません。2015年4月から新制度に移行するなかで、認可の幅が広がりますので、ビルの中など、使える場所はどこでも使っていく方針です。もちろん「子どもにとって良い環境であること」を最優先に判断します。「保育政策担当課長」という専任担当がいて、この課題に対応しています。

―― 民間の保育園・保育所を誘致する担当ということですね。

高野 そうです。例えば、池袋駅前にあるデパートのワンフロアに保育園をつくったっていいと思うんです。そうすればお迎えに行った帰りに買い物だってできて便利でしょう。人口過密の豊島区では、そのくらい大胆な発想をしてもいいと思っています。