2015年4月までに1400人の保育サービス定員の拡充を目指す

保坂 日本社会は今後、人口減少に見舞われ、この5年で世田谷区の人口と同じくらいの人数が減っています。10年間で390万人もの減少が見込まれています。子どもが生まれてくる社会をつくるのはなかなか簡単なことではない。こういった背景から、世田谷区では、子育て支援については徹底的にやろうと決めました。

 待機児童がワースト1ということもあり、認可保育園を12園。このうち2園くらいは遅れてしまうかもしれませんが、2015年に間に合うようにつくろうとしています。

―― 2015年4月までに10園程度ですね。定員を合計すると何人くらいになりますか。

保坂 これまでの定員に1400人上乗せすることを目標にしています。今は1300人くらいまで見えてきました。

―― 保育所を建設する場所は、どのように確保したのですか。

保坂 あらゆる手を尽くしました。例えば、世田谷区は国家公務員住宅が多いんです。財務省に行き、もし廃止になる国家公務員住宅があったら、一般入札に掛けずに、保育施設設置のために売ってほしいと掛け合いました。その交渉はうまくいきました。国家公務員住宅跡地に将来的には14園開設し、2000人の定員を確保します。

―― 公立ですか? それとも私立でしょうか。

保坂 すべて私立の認可保育園です。そして、次がまさに清水の舞台から飛び降りる思いで作った、このチラシです。


世田谷区が土地・建物のオーナー宛てに配ったチラシ

―― 「土地・建物のオーナー様 保育園にお貸しください!」。つまり、保育園を建設するために敷地を貸してくださいという依頼を土地のオーナー宛てに配ったのですね。

保坂 国家公務員住宅は、世田谷区の中央、世田谷通り近辺に、ベルトのように配置されていました。そのためそれらのエリアでは保育園用の土地を確保することができたのですが、玉川、烏山といった他の地域では新たに土地を確保しなければならない。

 では、民間の事業者に「土地を探して区に提供してください」と依頼するとなると、「世田谷区は保育事業に対する株式会社の参入を認めていないではないか」と指摘されてしまう。そこで、きちんと精査して、保育の質がきちんとしている民間を入れていく方向に、2013年7月から変えました。ところが、そこまでしても1件も申し込みが無かったんです。

 我々も「あれ?」という感じでした。結局、地価が高過ぎて参入できないでいたわけです。認可保育園の用地として、平均1500万円の賃貸料が年間掛かる。これを20年払い続けると3億円になります。23区内で比較しても高額なほうです。

―― 地価が高い区にはそんな苦難があるのですね。

保坂 賃貸料が倍になったとしても、保育料で倍取ることができないわけです。実は昔も民間事業者が「やります」というときは、20年で3億円掛かる土地代に対して、約4000万円の補助を出していました。最初の3年間程度でしたが。ところが、今はもう区としてもなりふり構っていられなくなった。そこで賃貸料の3分の2を補助することにしました。

―― 年間1500万円の賃貸料であれば、1000万円を区が負担するということですか?

保坂 はい、20年で3億円であれば、そのうち2億円を区が負担します。

―― 思い切った政策ですね。

保坂 そうしたらやっと提案が来るようになりました。

* 次回に続く

(ライター/阿部祐子、撮影/稲垣純也)

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