「中学受験その前に 小4からの放課後はどんな感じ?」では、学年が上がるごとに大手塾の勉強内容と塾費用がどのように変わるかを説明しました。今回は、中小塾や個別指導塾を中学受験にどう活用するかについて、受験に詳しいライター・越南小町さんが解説します。
(日経DUAL特選シリーズ/2017年12月収録記事を再掲載します)

地元の中小塾や個別指導塾も中学受験に対応できる

 以前、本連載の記事で中学受験をするのなら大手塾が有利であること、一方で大手塾に通うと、学年が上がるにつれて学習量が増え、授業料も上がっていくことなどをお伝えしてきました。

 では、地元の中小塾や個別指導塾では、中学受験に対応できないということでしょうか?

 いいえ、そんなことはありません。私事ながら、わが家も中学受験を体験していますが、息子が通ったのは地元の小さな塾でした。その塾の存在を知ったのは、先輩ママからのクチコミです。

 息子は小学1年生から少年野球チームに所属していました。中学受験のスタート地点である小3の2月の段階では、受験は考えておらず、勉強系の習い事として近所の公文に通っていました。ところが、5年生になる少し前、小1から始めた公文の学習法に飽きてしまった息子は周りの友達の影響もあり、「塾に通いたい」と言い出しました。そこで、地元では人気があったその塾へ通うことになったのです。

 その塾には、中学受験を目指す「受験クラス」と地元の公立中へ進む子のための「一般コース」があり、中学受験をしない息子は「一般コース」に入りました。ところが、そのクラスの算数の授業がとても面白かったようで、学校の授業では習わないけれど中学受験に役立つ「特殊算」に興味を持つようになりました。そして、もっと知りたいという思いが、中学受験へとつながっていきました。

 しかし、塾での勉強は楽しいけれど、週末の野球の練習は休みたくないと言います。そこで、野球を続けながら、受験もするという道を選択することにしました。幸い、その塾では同じように少年野球チームに所属しながら中学受験をした先輩がたくさんいました。ですから、塾側もそういう子の対応に慣れていたのでしょう。

 実際、かなり個人的な融通が利きました。例えば、平日の塾には通うけれど、土日は野球があるので模試は受けない。特別講習は6年生の冬期講習だけ受け、あとは受けていないなど、大手塾では絶対にあり得ないことが許されたのです。

 もちろん、こんな状況ですから、御三家のような難関校を目指すことは難しい。けれど、地元の中堅校は十分に狙える学力をつけてもらうことはできました。このように、ひとくちに中学受験と言っても、目指す学校によっては必ずしも大手塾に通う必要は無いのです。でも、これはあくまで私の意見です。

 本連載でもおなじみの西村則康先生はこう話します。