長時間労働がなくならない原因、1位は人事・評価制度

 日本で子育て社員が働きづらい原因の一つとして「慢性的な長時間労働」が挙げられます。なぜ日本の会社は「長時間労働が当たり前」という環境になっているのでしょうか。「日本の長時間労働の最も大きな原因はなんだと思いますか?」と尋ねてみました。

(単一回答)
(単一回答)

Q 日本の長時間労働の最も大きな原因はなんだと思いますか?
1位 時間当たりの生産性を意識しない人事・評価制度 47.1%
2位 残業しなければ片付かないほどの限界を超えた仕事量 19.2%
3位 早く帰りにくい職場の雰囲気 17.2%
4位 人員の不足 6.4%
5位 接待や打ち上げなど、夜間に行われる社内外の仕事 1.7%

※単一回答

 「その他」のコメントでは、「効率的に仕事をしようという意識が低い」という声も多く聞かれました。非効率的な仕事の内容として、「丁寧すぎる資料の作成や複数人による承認制度」(35歳女性・正社員)のほか、「会議などに時間を取りすぎている」(37歳女性・正社員)というコメントが目立ちます。また、2位や3位の回答にも関係しますが、「残業代目当ての残業」(39歳女性・正社員)という答えも見られました。

 1位となった「時間当たりの生産性を意識しない人事・評価制度」ですが、国際機関OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本の1時間当たり1人の生産性は約4200円。米国と比べると日本人の生産性は時間当たりで約65%程度しかないという残念な結果が出ています。

「“5時になってようやくスイッチが入る上司のもとでは生産性など感じられない”という厳しくもまっとうな声も挙がっています。否応なく子育てタイムが毎夕待ち受けている子育て社員は、時間の制限があるからこそ仕事の質ややる気は変わらず、むしろ生産性を高めることができるという事実を多くの企業が理解すべきです」(羽生編集長)

 同じ項目のアンケートを、日経DUALも所属する「日経ウーマノミクス・プロジェクト」も行っています(調査期間 2014年10月28日~11月24日)。日経ウーマノミクス・プロジェクトのアンケートは女性限定で、子育てをしていない女性も含まれます。そちらの上位3つを見ると、1位はかわりませんが、2位と3位が入れ替わっています。

1位 時間当たりの生産性を意識しない人事・評価制度 47.2%
2位 早く帰りにくい職場の雰囲気 20.8%
3位 限界を超えた仕事量 12.1%

※日経ウーマノミクス・プロジェクト調べ

 DUAL読者へのアンケートが「仕事量」を強く意識する結果になったのは、子育て中は保育園の送迎や保育園や学校からの急な呼び出しなど、時間的な制約を常に感じているからかもしれません。実際、子どもができたことによる生産性の変化に関するアンケートからもそれは読み取れます。次に紹介するのは「子育てする以前と今では、自分の生産性についてどのような変化があったと感じますか?」という質問です。