育児休暇後は奥さん孝行をするようになった

 機能性化学品事業部の森川毅さんは4歳の男の子と2歳の女の子の父親だ。

 「2人目の子が6カ月のとき、1週間の育休を取得しました。周囲には独身だったり、もうお子さんが大きかったりで制度を知らない人も多く、『へ〜、取るんだ』という反応でした。ただ、休むことを言いづらい雰囲気は全く無かったですね」(森川さん)

 こういった画期的な制度ができても、数字を世間に知らしめるため、社員に無理やり取らせたりすることはない。「対象者の上司に『部下に取得を促してほしい』と連絡すると、上司がきちんと該当社員に『こんな制度ができたよ』と声を掛け、該当社員も『じゃあ、取ります』とあくまでも自然体。当社の真面目な社風がいいのかもしれません」(伊藤さん)

 家族と1週間みっちり過ごした森川さんは、それ以降、奥さん孝行を心がけるようになったという。

「育休を取ることを言い出しにくいという職場の雰囲気はまったくありませんでしたね」と機能性化学品事業部の森川さん
「育休を取ることを言い出しにくいという職場の雰囲気はまったくありませんでしたね」と機能性化学品事業部の森川さん

 「2歳の子と6カ月の赤ちゃんが一緒に泣き出したり、お風呂や食事など2人分の世話をしたりする大変さが身に染みました。皿洗いとか、土日に子どもを公園に連れ出すとか、できることは積極的にするようになりました。育休を取得した以降も、仕事もだらだらせずにメリハリをつけて、早く帰れる日には早く帰るようにしています」

 同じ部署内で、まだ対象者は出ていないが、後輩達もどんどん取るといいと言う。

 「出産という大事なときには、1週間くらい家族のために仕事を休んだっていいんだと改めて考えるいい機会になりました。私は営業職ですが、いざとなったら、パソコンや携帯だってありますから」

 こうした取り組みは評価され、厚生労働省主催「イクメン企業アワード2014」の特別奨励賞も受賞した。

 昭和電工ではその他にも、本社や各事業所でパパ・ママの仕事ぶりを見学できる家族見学会を開催している。

 昨年本社で開催した際は、社内各所のスタンプラリーの中で社長の決裁印をもらったり、手作り名刺で社長と名刺交換できたりするプログラムを加えた。また各事業所では、工場の製造ラインの見学や子ども向け工作体験なども用意。仕事と家庭のバランスをそれぞれの社員が見直せる場となっている。

 ――続く後編では、市川秀夫社長へのインタビューをお届けします。

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昭和電工 http://www.sdk.co.jp
カエル! ジャパン http://wwwa.cao.go.jp/wlb/change_jpn

(文/大友康子 写真/鈴木愛子)

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