産休・育休を取得した社員の職場復帰率は100%、ここ3年間の離職率はゼロという、共働き世帯にとって「働きやすい会社」である通販化粧品会社ランクアップ。前編(「残業と事務作業を減らしてワーママの発想を生かす」)に続く後編では、自らが社内の出産第1号という岩崎裕美子社長に、子育て中社員を企業の成長に生かす秘訣を伺いました。

長時間労働で10歳以上老けて見えるほどに疲れていた

日経DUAL編集部(以下、DUAL) 「女性が活躍できる理想の会社」を目指して起業されたとのことですが、どのような経緯があったのでしょうか?

岩崎社長(以下、敬称略) 前職は中小企業の広告代理店の取締役営業本部長で、主に通販化粧品会社を担当していました。自分の分身と思えるくらい仕事が好きで、土日も無く夜中まで働く毎日でしたが、もし子どもができたり、年齢を重ねたりしたら、このまま同じ働き方はできないと思うに至りました。もともと独立志向があり、女性が一生働ける理想の会社を自分で作ろうと37歳で起業したんです。

DUAL そこで選んだのが通販化粧品の世界だったのですね。

岩崎 前職での過重労働で、当時は30代半ばだったのに10歳以上、上に見られるくらい肌はボロボロになりました。でも、効果が感じられる化粧品がどこにも無くて、それなら自分で作ろうと。ただ、いくつも化粧品製造会社を回りましたが、「効果をしっかり実感できて、なおかつ肌に優しい化粧品を作りたい」と相談しては玉砕の繰り返し。そしてようやく、私の思いに賛同してくれる製造元を得て、今ある「マナラ化粧品」の販売を開始したんです。

DUAL ランクアップでは、病気の子どもを預かってもらえる「病児シッター代大幅補助」など、大企業でもなかなか無いほど働くママのことを考えた制度が整っていますね。

岩崎 自分自身ももちろんですが、社員には一生涯イキイキと働き続けてほしいと思っています。そのための制度はいくらでも整備します

 病児シッターは2万円弱かかりますが、利用料のほぼ全額を会社で負担するので、本人の負担は300円のみです。もちろん、子どもに高熱があるときに無理して会社に来てほしいわけではありません。インフルエンザなどで熱が下がったあとも学校や保育園を休まなければいけないときに、積極的に利用してもらいたいのです。

 そのくらい、あなたを必要としていますよ、という会社の本気度の表れです。