高学歴で就活を勝ち抜き、男性と肩を並べて働いていた総合職の女性。彼女達が、育休などの制度は整ってきたにもかかわらず、出産後に仕事を辞めたり、育児重視の“ほどほど”の働き方にシフトしているように見えたりするのはなぜなのでしょう? 中野円佳さんの著書『「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか?』は、15人の女性へのインタビューを通じ、ワーキングマザーをそれぞれの選択へと至らしめた社会構造を分析しています。
 「育休世代」とは、育休などの制度が整った2000年代以降に就職・出産を経験した世代のこと。日経DUALでは、これまで3回にわたり掲載してきた著者インタビュー(「バリキャリ女性が出産後に仕事を諦めるのはなぜ?」「上司の『この仕事できる?』がワーママを追い詰める」「『20代で産んで働く』新たなロールモデルを目指す」)で、この世代の女性達が「自己実現」と「産め働け育てろ」の2種類のプレッシャーにさらされていることや、長時間労働を前提に成り立っている社会の構造が、「時間的な制約を持つ子育て中は正当に評価されない」「夫には期待できない」といった状況をつくり出していることなどをお伝えしました。
 この本を読んだ人を対象としたイベント、『「育休世代」のジレンマ』読書会~“もやもや”の正体をみんなで考える~が、昨年10月に開催されました。様々な世代・職種の人が集まり、働き方について活発な意見交換がなされたこの読書会の様子を、リポートします。

キャリアを継続するために最も重要なのはパートナー選び

「キャリアを積み重ねるうえで最も重要なのは、両立に協力的な『正しい夫』を選ぶこと」

 こんな意見が出て盛り上がったのは、ある読書会でのこと。一般財団法人International Women’s Club JAPANのGlobal Moms Networkが主催したこの会には、本の著者を含む12人のワーキングマザーが参加した。

 参加者の一人のパートナーである労働経済学者の男性も、ゲストとして参加。お互いの顔を見ながら話ができるアットホームな雰囲気の中で会は始まった。