2010年に雑誌『FQ JAPAN』の「Mr.イクメンコンテスト」で準グランプリに、2011年に厚生労働省認定「第6回イクメンの星」に選ばれ、厚生労働省イクメンプロジェクト推進チームメンバーとしても活動中の越智聡さん。外資系コンサルティング会社アクセンチュアでマネジャーとして働く32歳、共働きパパです。現在はプロジェクトごとに5人から20人のチームを束ねるイクボスで、過去には育児休暇と時短勤務を取った経験もあります。仕事にも家庭にも本気で向き合う、若手リーダーの等身大の姿をリポートします。

仕事に代わりはいても、育児に代わりはいない

 8歳と5歳の子を持つ越智聡さん。今でこそ、育児中などで時間的制約がある部下達を職場でサポートするイクボスとして活躍しているが、子ども達がそれぞれ3歳と0歳だったころは、深夜タクシーでの帰宅が続く”モーレツ社員”だったという。

 妻からは、「ほぼ一人で育児をするのは体力的にも厳しいから、もう少し早く帰ってきて。この生活はいつまで続くの?」と言われてしまう始末。ふと、「仕事は家族を幸せにするためのものなのに、逆に不幸にしていないか……」との思いが頭をよぎり、思い切って上司に相談したところ、進行中のプロジェクトのタイミングがよかったことなどもあり、しばらく休むことを提案されて2カ月間の育児休業を取るに至った。

 休暇中は、保育園の送り迎え、子どものお風呂と寝かしつけを越智さんが担当。食事作りも奥さんと分担していた。「主体的に育児に関わることで、育児の大切さに気づいていったんです」。一方、仕事のほうは越智さんが不在の間、代わりにシニアマネジャーが入ってプロジェクトは滞りなく、順調に進んでいったという。

 仕事には代わりがいても、育児に代わりはいない――そう痛感した出来事だった。

 そうこうするうち2カ月が経ち、職場へ復帰。ちょうど新しいプロジェクトがスタートした時期にぶつかり、再び深夜帰宅に逆戻りしそうになった。そこで、上司に相談して今度は17時上がりの時短勤務を選択。「時短勤務は2年2カ月続けました。この経験を通して、仕事に対する様々な考え方が大きく変わりました」

 例えば、以前は「定時の18時までに終わらない仕事は、残業して片付ければいいや」との気持ちが常にあったが、17時には会社を出て保育園のお迎えに行かなければならない。

 「仕事の組み立て方や作業の進め方について、より強く意識するようになりました。ただ、どんなに工夫しても時間内に終わらないこともあります。そんなときは、“周りの人にあらかじめお願いしておく”という、他人の協力を得る方法も覚えました」