そして、いよいよ大賞が発表に。

 大賞に選ばれたのは、認定NPO法人あっとほーむの小栗ショウコさんだ。

 小栗さんは保育園へのお迎え付き夜間保育・学童保育所を1998年に創設。「社会に必要な仕事を担う女性が出産後も働き続けるためには何が必要か」ということを考えながら、16年間の長きにわたって仕事と子育ての両立をサポートしてきた。

 保育事業だけでなく、出版、執筆、講演活動を通じて自らのビジネスモデルや運営ノウハウを発信し、起業支援も積極的に行うなど、女性支援への貢献や影響力が評価されての大賞受賞となった。

働く女性や子育て支援が重要視されつつある手応えを感じた

 授賞式の最後にプレゼンテーションをした小栗さん。これまでに挑戦してきたことやこれからの取り組みについて詳しく語る間、客席は真剣な顔で聞き入り、女性の両立支援や保育に対する関心の高さがうかがえた。

 大賞を受賞したことについて小栗さんは、「16年前に事業を始めたころ、ビジネスとしての保育事業への社会的認識はまだ低いものでした。以前、かながわ子ども・子育て支援奨励賞という賞をいただいたことがありますが、今回初めてビジネス分野の賞をいただけたということは、働く女性や子育てへの支援が社会的に重要視される時代になってきたことだと感じました」と話す。

 「今後は働く女性のみならず、働く男性や子ども達にも必要とされる事業に育てていきたい」と熱く語っていたのが印象的だった。

 今回、最終審査の基準となったのは「経営理念とビジョン」「経営手法」「独自性と新規性」の3項目だ。審査委員長の田中教授は審査について次のように説明する。

 「ビジネスには、1.目的明瞭性 2.企画技術力 3.社会的意義性 4.経済的報酬の確保 5.永続性と持続性が必要不可欠です。

 まず、何のために事業を行うのか、はっきりとした目標があること。そして、その思いを実行するための技術や資格を保持し、社会からのニーズとウォンツに合致したサービスを提供していること。さらに、従業者に適正な給与を支払っていること。最後に、社会的な責任を全うするためにも、ビジネスが持続できるシステムをつくること。これらが優れた経営者に求められ、審査でも重視した点です」

 今回選ばれた7人のファイナリストは、全員が自分の信じる道で可能性を広げてきた人ばかり。その強い信念と熱意で今後より一層の活躍を期待したい。

ビジネスウーマン・アワードのファイナリスト達。目覚ましい活躍をしている女性ばかりだ
ビジネスウーマン・アワードのファイナリスト達。目覚ましい活躍をしている女性ばかりだ

(文・写真/濱野ちひろ)