白河さん 本書では、独身のモテ系サッカー男子5名に座談会をしてもらいました。そこでの非現実的過ぎる彼らのホンネに心底驚かされました。「妻には緩めに働いてほしいけれど、家庭役割はしっかり担当してほしい」んだそうです。そこそこ稼いでほしいけれど、自分より先に家に帰っていてほしいと。女性にとって、こういう緩い働き方が実は一番大変なんです。本書ではこういった驚くような彼らの正直な声を載せていますので、ぜひご覧になってください。

――本書には様々な専業主婦の事例が登場し、夢と現実の厳しい温度差が紹介されています。「元エビちゃんOLのギリギリハッピー生活」というコーナーも非常に興味深く読ませていただきました。

白河さん 夫の親とのしんどい同居生活を受け入れている人や、夫から突然離婚宣告を受けた人、年収400万円でも幸福度の高い人や、反対に800万円あっても幸福度はギリギリの人など、私がインタビューしたリアルな事例を載せています。「専業主婦を続ける」「働くことを選ぶ」など、状況ごとに下される決断はひとによって本当に様々。共働き世帯が多いデュアル読者の方にも興味を持って読んでもらえると思います。「この本を読んで仕事を辞めることを思いとどまった」というワーキングマザーの感想をたくさんいただきます。

――「女性にはもはや『働かない』という選択肢はない」というメッセージが印象的です。

白河さん 私が最も伝えたいメッセージです。よく男性は「女性はたくさんの選択肢があっていいよね」と言いますけど、それって「働く」か「働かない」かという意味ですよね。でももう「働かない」という選択肢はないんですよね。

女性が働くことが当たり前にならないとジェンダー格差は縮まらない

 今はアベノミクスにより女性の活用が進められていますが、私は専業主婦にも働きに出てほしいのです。まず一歩踏み出してほしい。仕事を「好きなこと」や「輝くこと」「活躍すること」という特別なものとしている限り、日本で女性が働くことは当たり前にはならないと思います。「オトナなら自分で自分の分を稼ぐのは当たり前」という意識をベースに持ってほしいですね。

――20代の彼女達には、母親以外にどんなロールモデルがいるのでしょうか?

白河さん 彼女達の環境では、20代独身女性や40代女性管理職といった層との接点はあるのですが、実はデュアラーのような「仕事も育児も頑張っている30代」がすっぽり抜けていて、メッセージが全く来ていないんですよ。デュアラーの皆さんも大学生の知り合いってなかなかいないでしょう? 自分の母親しか見ていないから、働く母親のことが分からない。ですからデュアラーのような夫婦を大学生が集まる場にどんどん連れて行って、彼女達のロールモデルにしたいと思っています。夫婦で家事・育児をどのように分担し、やりくりしているかを聞かせてあげる機会がもっとあったらいいのではないでしょうか。

今の女子大生の日常には「イクメン像」が不在

 私が主催している女子大生向けの勉強会にイクメンのゲストを呼ぶと、彼女達はみんな感動するんです。自分の父親や彼氏はこんな感じではないからでしょうね。父親が家事・育児をしなければ、自分の夫となる人に対してだって、はなから家事・育児を期待しませんよね? だから「夫のサポートがアテにできないのなら『自分は家事も育児も仕事も』という生き方は無理だな」と思っちゃうと思うのです。