元英語落ちこぼれにして現在は通訳者の川合亮平さんが、環境ジャーナリストにして英語の同時通訳者・翻訳者でもある枝廣淳子さんと「英語学習」について語り合いました。

 前回の記事「通訳者の私が子どもに英語を教えなかった理由」では、子どもの英語学習や、英会話学校に通わせる際の心構えなどについて聞きました。今回は親である我々の英語勉強法や「本当の意味で国際人になるには」というテーマについてです。

枝廣淳子さん
東京大学大学院教育心理学専攻修士課程修了。
2年間の米国生活をきっかけに29歳から英語の勉強をはじめ、同時通訳者・翻訳者となる。執筆、講演、コンサルティングなど、環境を軸に伝えることで変化を創り、「つながり」と「対話」でしなやかに強く幸せな未来の共創をめざす。主な著訳書に『朝2時起きで、なんでもできる!』『不都合な真実』等多数。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2004キャリアクリエイト部門」を受賞。

20〜30代なら、子どもよりも自分が英語を学ぶべき

川合亮平(以下、川合) 前回の記事では、ご自身も29歳のときから始めた経験上、英語学習をスタートするのに年齢は関係ない、やる気になったときが英語学習の始めどきだ、とお話いただきました。

 一方、働く親からは、「英語をやらないといけないのは分かっているが、差し迫って必要性もないので、やる気にならない」という声をよく聞きます。それでも、英語を学ぶやるべきだと思いますか? それとも、やる気が出ないなら別にしなくてもよいのでしょうか。

枝廣淳子(以下、枝廣) 50代以上の人に対しての答えは違ってきますけど、20〜30代の人だったら、子どもよりも先に、自分自身にとって英語が必要となる可能性は高いと思います。

 そうした人たちは「いずれ子どもの時代には必要になるだろう」と思って、子どもに英語を習わせている人もいるでしょう。でも、英語が必要な時代というのは、気づいていないだけで、実はもう来ているのです

 だから20〜30代だったら、子どもに投資するのもいいけれど、それより先に自分に投資するほうがいいんじゃないですか。知人などの話を聞くと、本当は自分が英語をやらないといけないと分かっていても二の足を踏んでいて、その思いを子どもに押し付けて、子どもに英語を習わせている親も少なくないのかな、と思います。

 最近私が監訳を手がけた『アル・ゴア 未来を語る 世界を動かす6つの要因』(邦訳KADOKAWA/角川マガジンズ刊、右写真)という本があります。これからの世界を形づくっていく6つのトレンドを説明していて、その1つが、「これまで以上にグローバル化が進む」ということです。

 それを考えたときに、もちろん、英語を必要としないまま日本で一生を終える人も、ある一定の割合で必ずいますが、英語を話せたほうが道が開ける確率がどんどん高くなってくると思います。逆に言うと、英語ができないことが、自分の未来を狭める要因になってくる可能性は低くないでしょうね。