第1回「脳科学で絵本読み聞かせの意外な事実が明らかに」、第2回「絵本の読み聞かせ 子どもの『自己肯定感』を伸ばす」、第3回「IQ140を保証する保育園の読み聞かせタイム」に続く特集第4回では、普段から子ども達に触れ合うことの多いDUAL人気コラムニスト3人に直撃! それぞれがお勧めする絵本を2冊ずつ選んでもらいました。すぐにでもわが子にプレゼントしたくなる珠玉の作品ばかりが集まりました。

チャイルド・ファミリーコンサルタントの山本直美さんが選んだ2冊

『また もりへ』

文・絵/マリー・ホール・エッツ
訳/まさき るりこ
出版社/福音館書店

 この絵本はモノクロの版画でできています。一見、大人が思う絵本のイメージからは遠い、シックな絵ですが、ストーリーが奥深く、子どもも大人も楽しめる絵本です。

 モノクロの絵本は絵としては刺激が少ないですが、それでも言葉からイメージを膨らませられる子は、モノクロでも十分に絵本に集中できます。

 絵本が好きで小さいときから読んでいたのに、児童書へ移行した途端、集中できずに本離れしてしまうという子ども達のことをよく耳にします。きれいな色の絵や楽しい音ばかりに集中して、言葉からイメージを広げる力が発揮できていない場合、文字の多い児童書への移行は難しくなります。

 私はこの絵本をそんな意味のチェックにもよく使います。

 内容的にも、「人が笑う」ということが他の動物にはできない素敵な芸であるということを、子どもにも大人にも教えてくれる、奥深い内容になっています。

 この絵本を楽しく読める子どもは、スムーズに児童書へ進むことができると思いますので、ぜひ絵本を読み進める中で、通過してほしい一冊です。

『かえるとカレーライス』

作/長 新太
出版社/福音館書店

 とにかく子ども達が何回も「読んで」と持ってくる絵本です。

 かえるがカレーを食べて鳴き声が“カレカレカレ”と変わってしまうその瞬間、子ども達は必ず大笑いします。

 大人にとってはあり得ないファンタジーの世界感。大人になるとなかなか楽しめないものですが、子ども達は現実とファンタジーの世界を行ったり来たりしているので、こうしたあり得ない話でさえ、まるで本当に起こっていることのように楽しむことができます。

 絵本を読むにあたっては、子どもに真剣に向き合ったり、丁寧に接したりすることがもちろん必要ですが、この絵本に出合ってからは、子どもの心にまず届くのはやはり“ユーモア”であることに気づかされました。

 子どもはユーモアが大好き! ユーモア・アプローチの原点に近いものなので、子どもに大人気なのでしょう。

山本直美
チャイルド・ファミリーコンサルタント。アイ・エス・シー代表。NPO法人「子育て学協会」会長。1967年生まれ。日本女子大学大学院家政学研究科修士課程修了。幼稚園教諭を経て、大手託児施設の立ち上げに参画。95年にアイ・エス・シーを設立、自らの教育理念実践の場として保護者と子どものための教室『リトルパルズ』を開設。2008年にはこれまで研究・実践してきた理論・プログラム普及のため、NPO法人「子育て学協会」を設立。キッザニアのプログラム監修やリクルート社事業所内保育施設運営の受託、子育て支援の『ゆるママ講座』『できパパ講座』プログラム提供などの実績がある。著書に『できるパパは子どもを伸ばす』(東京書籍)、『子どものココロとアタマを育む 毎日7分、絵本レッスン』(日東書院)など。子育て学協会Facebook