2強で異なるヒットへの道すじ

 圧倒的な強さを示した『妖怪ウォッチ』と『アナと雪の女王』ですが、今回の調査を行ったジーエフケージャパンの池浦紫野アナリストによると、人気になるまでのプロセスはそれぞれ異なるようです。

 『妖怪ウォッチ』は、ゲームソフト・TVアニメ・玩具といった幅広いジャンルにコンテンツを展開するクロスメディア戦略が爆発的な人気を生み出しました。

「『妖怪ウォッチ』は、2013年7月の3DSゲーム発売当時からアニメ、漫画、玩具などの展開を計画しており、半年後の2014年1月にアニメ、漫画、玩具が一斉に発売されました。『ポケットモンスター』ポケモンのアニメ開始がゲーム発売の1年後だったことから考えても、戦略的な展開であることがわかります」

 注目すべきは玩具の力。「アニメ開始とほぼ同時に妖怪メダルが大人気になっているなど、ゲームやアニメの魅力だけではなく、グッズ自体の魅力も高いのが特徴です。玩具がヒットにもたらした相乗効果も大きいと思います」

 用意周到に準備されたクロスメディア展開が成功につながった『妖怪ウォッチ』に対して、『アナ雪』ブームに火をつけたのは「歌」と「映画」の力でした。

 日経エンタテインメント!2015年1月号「年間ヒットランキング」によると、映画『アナと雪の女王』の興行収入は254億円で、これは2位の『永遠の0』(87億円)の約3倍。アルバム年間ランキングを見ても1位がオリジナルサウンドトラック、9位に「Let It Go ~ありのままで~」が収録されたMay J.の『Heartful Song Covers』がランクインしています。ダウンロードやカラオケのランキングでも松たか子版の「レット・イット・ゴー」が1位を占めています。

「『アナ雪』については映画と歌がまず人気となり、そのコンテンツの魅力に追随して関連アイテムの発売・販売がついてきました。他メディア(ゲームソフトや漫画)などでの展開がないところが『妖怪ウォッチ』との違いだと思います」

まだまだ人気は継続中

 今回の調査は9月までのデータですが、池浦さんによれば、この2強に関しては「9月以降の販売も好調」だそうです。

 『アナ雪』については、映画と歌の人気を受けて、映画上映開始から約半年後の10月~11月に多くの関連アイテムが発売されていますし、『妖怪ウォッチ』は12月20日に公開された『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』が公開週末のランキングで1位を獲得しました(興行通信社調べ)。

 2014年を代表するヒットとなった2作品の人気はまだまだ続くのか。あるいは、この2作品を超える新たな作品が、私たちを楽しませてくれるのでしょうか。

(文/松村武宏)