「1日1回は自分が選んだ道に感謝する時間を作ろう」

 アンケートの3問目「夫もしくは自分が転勤や留学することとなった場合、家族とキャリアのどちらを優先しますか?」の問いに、「単身赴任などでお互いのキャリアを優先する」と答えた参加者は34%でした。家庭を優先し、夫婦のどちらか一方がキャリアを諦めるとしたら、キャリアを諦めるのは「妻である」62%、「そうとは限らない」38%という結果に。働く女性の62%が、自分のキャリアより夫のキャリアを優先すると答えました。この結果をどう見ればいいのでしょうか。

佐藤 妻が諦めるのが当然ではないし、夫が諦めるのも当然ではない。38%もの女性が「妻が一方的に諦めるわけではない」と考えていることは望ましいことと思います。夫婦でよく話し合って、どちらのキャリアを優先するか決めてほしいですね。

 日経WOMANの読者に話を聞くと、共働きなのに「仕事が忙しくて、ごはんや片づけができなくて申し訳ない」とおっしゃる方が多いんです。女だから家事をやらないといけないという意識があるので、まずはその意識から変えていく必要があります。

橋本 夫の意識も変えなくてはいけませんね。

佐藤 協力的ではなかったパートナーを上手に変えている女性がたくさんいます。うちのパートナーはそういう人じゃないから変えるのは無理なんて言わないで、トライしてほしいですね。だまって、自分が犠牲になることだけは避けてほしいです。

橋本 長いスパンで考えればいろいろな時期がありますから、自分が我慢するときもあれば、相手に我慢してもらうときもあるということですね。

清水 2人が仕事を続け、家庭を運営していくと決めたら、なんとか頑張るしかありません。決まった形を求めず、家庭によっていろいろな形があっていいと思います。

 困難にぶつかったときは、目の前のことでいっぱいいっぱいになってしまいますが、ちょっと引いて見ることにしています。そうすると、いいときもあれば、悪いときもあると考えることができます。将来どうなりたいのかイメージしながら立ち向かえば、乗り越えられない壁はないと思います。

羽生 ワーキングマザーは先々のことを心配している余裕すらないほど多忙だと思いますが、日々のやりくりだけに意識をとらわれすぎて毎日が進んでいくのは寂しいような気がします。

 通勤時間でもいいので、1日1回は自分をニュートラルポイントに戻す時間を作るのがお勧めです。自分が選んで仕事をしていること、選んだパートナーと暮らしていること、子どもを育てる喜びに立ち会えていることに感謝し、幸せを感じてほしいなと思います。

 会場ではこのトークのあと、生ライブや食事をとりながらの参加者交流会を楽しみました。いろいろな立場で働く女性たち。目前の悩みや挑戦は違えど、明日を前向きにするためのコツや気持ちの持ち方について、社外のワーキングウーマン同士で情報交換して大変に盛り上がりました。

(文/辛智恵、撮影/鈴木俊介)