赤ちゃんが生まれると、保育園探しも大変だけれど、予防接種のスケジューリングも同様に大変! この記事では、2014年11月9日に開催された講座『ママ&パパが知っておきたい 守れる子どもの感染症 〜最新のワクチン事情〜』(NPO法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」主催)から、予防接種はなぜ必要か、世界と日本のワクチン事情の差、また、新たに定期接種化された水痘ワクチンや、若年層に感染が増えているB型肝炎について2回に渡り、紹介します。今回は、保育園での感染や父子感染も増えているB型肝炎がテーマ。済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科顧問の藤澤知雄先生による講演を基にお届けします。

汗や涙、唾液からも感染するB型肝炎。感染した赤ちゃんは9割が慢性化

 B型肝炎とは、文字通りB型肝炎ウィルスに感染しておこる肝炎で、世界の人口の3.5人に1人の人が感染したことがあると言われています。

 成人以降に感染すると一過性の感染で終わりますが、3歳までの赤ちゃんが感染するとほとんど症状がなく、9割が持続感染します(キャリアと呼びます)。

 成人以降に発症する肝がんや肝硬変の多くが、赤ちゃん時代に感染したB型肝炎ウィルスに起因していることが立証されています。その多くは出産時の母子感染と考えられますが、最近になって感染者の涙や汗、唾液からも感染することが分かってきました。

感染年齢によるB型肝炎の経過(国立国際医療研究センター 肝炎情報センター)