赤ちゃんが生まれると、保育園探しも大変だけれど、予防接種のスケジューリングも同様に大変! この記事では、2014年11月9日に開催された講座『ママ&パパが知っておきたい 防げる子どもの感染症 〜最新のワクチン事情〜』(NPO法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」主催)から、予防接種はなぜ必要か、世界と日本のワクチン事情の差、また、新たに定期接種化された水痘ワクチンや、若年層に感染が増えているB型肝炎について2回に渡って紹介します。今回は、ママ&パパが知っておくべきワクチン最新事情を、神奈川県川崎市健康安全研究所所長・岡部信彦先生の講演からお届けします。前回の記事はこちら「園内感染や父子感染もある B型肝炎に注意!」

任意接種は受けなくてもいい、というわけではない

 予防接種には定期接種と任意接種の2種類があります。

●定期接種→国や自治体が接種を強くすすめているもの。決められた年齢の幅の中なら多くは無料で受けられる。
●任意接種→希望して受けるもの。基本的には自己負担で、自治体によっては助成が受けられる場合も。

 まず知っておいて欲しいのは、定期接種だから医学的に必要なもの、任意接種だから受けても受けなくてもいいもの、ではないということです。どちらも医学的には必要なワクチンなので受けることをおすすめします。摂取によって健康被害が生じた場合、定期接種のワクチンに関しては国による被害救済制度があり、任意接種の場合には(独)医薬品医療機器総合機構による被害救済制度があります。

日本の予防接種事情は世界から大きく後れをとっていた

 日本の予防接種制度は、欧米の先進諸国に比べて、ワクチンの種類・回数ともに大きく後れをとっていました。アメリカでは、1987年にHibワクチン、2000年に肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンが導入されていますが、日本でこれらのワクチンが本格的に導入されたのは2010年のことです。

 その後、日本でも不活化ポリオ、不活化ポリオを含む4種混合(DPT-IPV)、13価肺炎球菌ワクチン、ヒトパピローマウイルスワクチン、水ぼうそうワクチンが定期接種になり、ロタウイルスワクチン、髄膜炎金ワクチンが認可されるなど、使用できるワクチンの種類は大幅に増えてきました。