「納期(締め切り)を守る」「優先順位を付けて動く」「新しいことを習得する」といった将来につながるトレーニングに、定期テストは向いている。仕事は、明確な結果が出ないこともある。定期テストや偏差値は、努力の結果が点数として現れる。だから、PDCAサイクルを回しやすい。「Plan(計画)~Do(実行)~Check(ふりかえり)~Action(改善)」は、職場でも使われている。

 定期テストは、得点ではなく平均点との差で考える。数学が、平均点より15点足りなかったのはなぜか。授業をどのように受け、テスト前にどのような時間配分で勉強したか。わからないところを残したまま試験に臨まなかったか。計算のスピードはどうか。

 中学生に、いきなり自己分析は難しい。できれば、学校や塾でふりかえりをしてやってほしい。定期テストに向けたスケジュールを作らせる学校は多いが、ふりかえり(Check)と改善(Action)の指導をするところは少ない。

「助けてもらうスキル」も必要

 高校生に向けた学習5原則は、以下の通りだ。

(1)過去最高点をめざせ
(2)得意単元を増やせ
(3)質問相手を作れ
(4)情報収集をしろ
(5)失敗を放置するな

 常に過去の自分を超える気持ちで取り組め、中1の1学期が最高で、後はダメになるだけなんてもったいない。「英語が苦手」「理科はわからん」の一言で逃げるな、暗記でカバーできることは多い。教科書の目次をざっと見て、できる単元を増やしていこう。

 「質問相手を作れ」は、特に強調する。「わからない」ことは、テスト勉強をサボる理由にならない。わからないなら、教えてもらえばいい。

 高校生にはこんなふうに話す。

 「『生きる力って何でしょうね』とある大学の先生に聞いたら、『世界中のどこに行っても、助けてもらえる力』だと教えてくれました。自分1人で、何もかもやれる人はいません。『教えてください』『助けてください』が言えるのも、大事な生きる力です。その時、大事なことがあります。勉強がわからへんねん、教えてください、助けて、と言った時に『よっしゃ助けたろ』『喜んで教えるで!』と言われる人になってほしい

 素直に「助けて」が言えない人は、仕事でも行き詰まる。「支えてやろう」「助けなければ」と周りに思われる人は、やっていける。愛すべき素直さや誠実さを、備えてほしいと願っている。