B債券は利率8%とA債券より高いですが、もう一つ「利回り」という言葉が出てきて、こちらはA債券のほうが高くなっています。混乱しますね。ここで「利率」と「利回り」という言葉の違いを知っておかなければなりません。

 額面に対する利子のことを、「利率」といいます。債券では基本的に、発行された時の金利を反映した利率が決まり、それは償還時まで変わりません。

 ややこしいのは、債券は償還時には発行された額面(100とします)が返ってきますが、その途中では価格が変動するということです。

 例えば世の中の金利が2%の時は利率2%のA債券が発行され、この利率はずっと変わりません。一方、世の中の金利が3%に上がれば、その時点で利率3%のB債券が新たに発行されます。すると、利率2%のA債券は利率が低いので人気がなくなり、販売価格が下がります。

 逆に、A債券が発行された後で世の中の金利が1%に下がって、利率1%のC債券が発行されたとします。すると、C債券より利率の高いA債券は人気が出て、販売価格が上がります。つまり、「世の中の金利が上昇=金利が低いときに発行されていた債券の価格は下落」、「世の中の金利が下落=金利が高いときに発行されていた債券の価格は上昇」というように、金利と価格は逆になるのでしたね。

利率と利回り、どっちを見る?

 金融機関で売られている外債は、このように、発行から一定の時間がたったものが多いのです。価格が額面の100より高かったり低かったりするのは、発行された時期が異なる結果、その後の世の中の金利の変化を受けて価格が変動しているからです。

 例えば、A債券は額面の90%(販売価格90)で買えて、償還時には額面=100で戻ってきますから、価格差を考えると10%のプラスです。逆にB債券は額面の130%で買って、償還時には額面(つまり100)でしか返ってこないので、価格差は30%のマイナス。これを整理すると、次のようになります。

 A債券は利率が3%とB債券より低いのに、利回りは6.1%とB債券より高いのは、A債券では売買益が10%出るのに、B債券は逆に売買損が30%出てしまうために、B債券は総合的な結果である利回りが低くなっているからです。

 ここで、本日の1つ目のポイントです。