共働き世帯を支える数多くの使用人達
インドと聞くと、「カースト制」や「貧困」を真っ先に思い浮かべる人もいるだろう。最近は政権交代に伴い、少し事情が変わってきていて貧困層は減少傾向に、その分、夫婦ともに働くダブルインカム世帯である中間層が増えてきている。
中間層の家庭では、日本人には想像を絶するほど使用人の数が多いのが特徴だ。
1998年、日本でもブレークしたインド映画『ムトゥ踊るマハラジャ』の主人公ムトゥは大地主のラージャに仕えるサーバント(家事一般を担当する使用人)だったが、映画には一体どれだけ使用人がいるの? というくらい、大勢の人達がラージャの家を切り盛りしている様子が描かれた。
中間層家庭における使用人の職種をざっと挙げてみよう。
●ドライバー
ご主人の会社送迎用とマダムのショッピングや外出のため、各家庭に最低2台の車と2人のドライバーがいる。
●コック
インド料理は温め直すとスパイスが沈んで味が落ちるため、作りたてを出すのが約束。冷凍食品のミックスベジタブルなどはほとんど見かけることはない。
●ハウスキーパー
家事一般を担当する使用人。女性はメイド、男性ならサーバントと呼ぶ。
●スイーパー
掃除係。ただし家のなかだけに限る。
●チョキダール
門番で24時間2シフト制。客が来たら応じ、ご主人の指示があれば、玄関まで客を案内する。また、買い物の荷物をドライバーから受け取ってキッチンまで運び入れたり、朝刊や郵便物を玄関に持っていったりする。このほか、一日3回犬の散歩もする。つまり、なくてはならない存在だ。
●ベアラ
給仕専門
●アヤ
子守専門
●トビー
停電が多いインドでは洗濯機のある家庭は少ない。そのため、トビーに洗濯を依頼する。アイロンがけまで担当し、きれいに仕上げてくれる。
●マリ
庭師。インドではエバーグリーン(常緑)が多いので、植木や庭のバナナの木などに水やりをしたり、栄養状態を把握して観葉植物用の薬を与えたりする。大体近所を回って掛け持ちしている。