手品のテクから学ぶ、子どもを引きつけるコツ
表も裏も一緒だと見せる動きがやはり大きなポイント。さりげなく見せて、両面とも同じなんだと思わせるように気をつけてください。
この魔法を子ども達にどうプレゼンテーションするかというのも大事ですね。うまくやらないと、すごくショボい手品に見えてしまいます。どういうストーリーを乗せていくかで魔法の意味が変わってくるんですね。
そのためには、まず、見ている子どもをどう引きつけるか、です。「ここにハートがあります」とか、「ココに弓矢があります」っていちいち説明しないほうがいいでしょう。
子どもには説明よりもクイズでワクワク感を
例えば「この赤いのな~んだ?」って質問すると、「ハート!」って答える。そこで、「せいかーい!」とかクイズっぽくやる。さらに「コッチの黒いのはなんだろう?」って言うと、だんだん子どもの興味が割り箸に集中してくるので、それぞれに工夫してみてほしいですね。
あとは、子どもというのは注意力が分散しやすいので、「なんと、今から弓矢の矢がこのハートに突き刺さるんだよ!?」「この弓矢の矢がどうなると思う?」などと、早い段階でこの先の展開を示唆しておくと「ええ!? ホント!?」って言いながら、「本当に刺さるのかな?」「どうやって刺さるのかな?」と考えて、ますます興味を持ちます。
子どもが飽きないうちに「ハートに弓矢があ~、見ててよお~!」と言ってさらに引きつけておいて「1、2、3!」とやる。あまり長々とやらないのがコツです。
応用して子ども達を喜ばせよう。タネ明かしは子どもの年齢に合わせて
この魔法ができるようになったら、いろいろと応用できます。何も描いてない割り箸から星が出てくるとか、誕生日に「ハッピーバースデー」って出てくるだけでも面白い。特に小さい子どもの場合には、普通にクルっと裏返して絵柄が変わるだけでも喜びます。各自、いろいろ応用して遊んでみてください。
ひとつ、注意したいのは、子どもの場合、裏側に何があるのか「触らせて!」と言うことも多いのです。そこでタネを教えて、一緒に魔法を練習するのか、そのまま見せないまましまってしまうのか、そこは各自の判断。
教えてあげてその子もできるようになって楽しめば、それは素晴らしいコミュニケーションです。でも、まだ小さすぎて教えてあげることもできない場合は、タネを知って「なーんだ…」とがっかりして終わってしまうこともあります。見せた子の年齢や性格などに合わせて、そのときにふさわしいコミュニケーションを図ってください。
どうしても、魔法のままで終わらせたい場合は、両面とも同じ絵柄の割りばしも用意しておいて、一度ポケットにしまってからそちらを渡して見せるという裏技もあります(笑)
自分で実際にモテジナをやってみると、子どもがどこを見ているのか、あるいは子どもにどこに注目してほしいのかが明確に分かり、そのためにどうすればいいのかといったことを考えるようになります。すると、子どもの観察力も養われるのではないかと思います。
そうやって養われた力はモテジナを披露しているときだけでなく、子どもと接する日常のなかでも役に立ちます。マジックだけではなく、例えば、テレビではなく、絵本に集中させたいときとか、何かに注意を向けさせるときにどうすればいいのかといった時に必ず生きてくる発見があったりすると思うので、この機会にこのモテジナをマスターして、子どもと触れ合いながら、どうやると盛り上がるのかと考えてみると、きっと、子育てに役立つヒントがたくさん隠れていると思います。
(ライター/國尾一樹)