子どもとしっかり向き合う時間をつくって、じっくり言葉を交わすとき、さあ、どんなことを話しますか? たまには「君達が大人になる20年後、30年後、世界と日本はどうなってるかな?」と、地球規模の問題を一緒に考えてみるのも、子どもの好奇心をくすぐっておもしろいかもしれません。
 地球の未来についての素朴な疑問をやさしくかみ砕いて解説する新連載が始まります。ここで紹介する内容を一通りおさえておけば、「パパもママも物知りだね!」なんて言われること間違いなし。
 第1回のテーマは「地球と日本の人口問題」。テレビを消して、さあ子どもに問い掛けましょう。

今世紀末、世界の人口は100億人突破、日本の人口は6割減…!?

「世界の人口と日本の人口はどれくらいか、知ってるかい」

「うーん…“いっぱい”!」

「世界の人口はだいたい70億人、日本は1億2700万人。そう、“いっぱい”だね。世界の人口はこれから100億人くらいまで増えて、反対に日本の人口はいずれ半分以下に減るかもしれないんだ」

「半分って、ほんと~!?」

2100年の人口予測
世界=約109億人(約5割増)
日本=約4959万人(約6割減)

※世界人口は2012年・国連の推計、日本人口は2014年・国立社会保障・人口問題研究所の推計(参考値)

 地球上の人口は2011年に70億人を超えました。1975年の時点では約40億人でしたから、35年ほどでほぼ30億人も増えたことになります。

 世界の人口がもっとも激しく増えたのは、1950年代の半ばから1980年代にかけて。当時は一時的にしろ、人口増加率が年2%を超えました。今は1%そこそこに下がっていることからして、勢いは明らかに弱まっていますが、今後もアフリカを中心とする新興国で目覚ましい人口増加が続くのは確実。地球上の人口は2050年には約96億人、2100年には約109億人に達するといわれます(2012年・国連の推計)。そこまでは増えないとする予測もありますが、少なくとも今世紀中は増加し続ける可能性が高いのです。

 一方、日本の人口は2008年の約1億2808万人をピークに減少に転じ、2012年は約1億2752万人。減少傾向は今世紀いっぱい続き、2050年には約9707万人、2100年には約4959万人になると予測されています(2014年・国立社会保障・人口問題研究所の推計。2100年の人口は参考値)。

 先進国の多くは人口減少に向かっていますが、近代以降、日本ほど急激な人口減少に見舞われた(見舞われる)国はありません。これをどう乗り越えるのか、あるいは乗り越えられないのか、日本は世界中から注目されています。

農耕・牧畜、産業革命…生産手段の進化が人口を増やした

「人の数って、大昔は今より少なかったんだよね」

「そうだよ。米や野菜を育てたり、石油や石炭をエネルギーとして使ったりといった技術を手にしたことで、人口はぐんぐん増えたんだ」

 生物の個体数の増減には一定のパターンがあります。食料が確保され、生殖に必要な条件が満たされると、まずは急激に増加。その勢いはしだいに緩やかになり、いずれは増えも減りもしない均衡状態を迎えます。

 人間も生物ですから、人口の増減も基本的にはこのパターンに従います。しかし私達は他の生物とはちょっと違うのも事実。決定的なのは、身の回りにあるものをそのまま食糧(エネルギー源)とするだけでなく、自分でそれを作り出す(増やす)技術を手にしたことです。

 1万年ほど前まで、地球上の人口は1000万人ほどだったといわれます。これがぐんと増えることになった要因は、ちょうどそのころ農耕・牧畜を始めたことです。その後、18世紀の産業革命(=鉱物資源のエネルギー化)に至って、さらなる「人口爆発」が始まりました。今も続く急激な世界人口の増加は、そうした流れの中での出来事なのです。