毎年12月になると、来年4月時の保育園申し込み活動、いわゆる「保活」が活発になる。共働きファミリーにとっては職場復帰ができるか否かの死活問題でもある。そこでとかく注目されるのが自治体の「待機児童数」だ。しかし、この数値が必ずしも「入園しにくさ・しやすさ」を現すとは限らない。日経DUALが日本経済新聞社と共同で実施した「認可保育園に関する調査」などを基にスタートする「みんなのラクラク保育園検索」の「自治体情報」のデータから分析してみた。

待機児童ゼロなのに、入園決定率が100%ではないってどういうこと?

 「待機児童数」と聞くと、保育園に入れない幼児の人数と簡単にイメージするだろう。しかし、「待機児童数」と実際の「入園のしにくさ・しやすさ」は、かい離している場合がある。注目すべき指数は「入園決定率」だ。

 入園決定率とは、

<新規で保育園に入園した児童数> ÷ <新規で入園を申請した児童数>

の数値で、「保育園を考える親の会」が各自治体に聞き取り調査し算出している。「新規」というのは、既に入園し在籍している世帯の次年度継続入園希望者数を除いている、という意味だ。

 入園決定率を見ると、認可保育園に新規入園申請した人のうちの何%が、実際に入園決定となったのかが分かる。この数値に注目すると、待機児童数からだけでは見えてこない各自治体の実態が浮かび上がってきた。

 例えば千代田区の例を取り上げてみよう。千代田区が公表している2014年4月の待機児童数は0人。であれば、認可園への入園希望者は100%入園可能かと思われるが、2014年4月における待機児童数・入園決定率を調べた上記調査によれば、千代田区の入園決定率は65.9%となっているのだ。つまり、34%は入園できず、3人に1人は入れないという計算になる。

 なぜこのような矛盾が起きるのか。理由は2つある。

待機児童数・入園決定率は2014年4月における数値を表す
待機児童数・入園決定率は2014年4月における数値を表す