一つは、待機児童数の定義の曖昧さだ。

 「国が公表している待機児童数は、自治体の自己申告によるもの。自治体が補助金を出している認可外保育施設(東京都の認証保育所など)で待機している児童の数が除外されているのはどこの自治体でも共通していますが、育児休業を延長している場合や、求職活動中の場合も除外してしまう自治体も少なくありません。そうすると、実態と全く合わない待機児童数になってしまうのです。ちなみに、千代田区で認可保育園に入園を申請したけれども入園できなかった児童の数は140人です」(保育園を考える親の会代表・普光院亜紀さん)

 待機児童数を8人と公表している荒川区では、認可園への入園決定率は86.3%だ。待機児童数0人の千代田区より高い数値になっており、待機児童数だけでは認可園入園の難易度を比較できないということが分かるだろう。

待機児童が5人しか違わないが、実際に入園できる家庭の割合は3割以上も違う

 もう一つには、人口規模の違いがある。

 2014年4月現在の千代田区の人口は、約5万5000人。その一方、待機児童ワーストとなった世田谷区の人口は約87万人。待機児童数という実数だけで比べても意味がないことが分かる。

 認可保育園への入りやすさの度合いは、入園決定率のほうが正確に表していると言える。

 もうひとつの例を見て頂きたい。

待機児童数・入園決定率は2014年4月における数値を表す
待機児童数・入園決定率は2014年4月における数値を表す

 葛飾区と杉並区の待機児童数に注目すると、111人と116人で5人しか違わないが、入園決定率は75.8%と42.7%で、33.1%もの差が生じている。つまり、この2区では入園の難しさは一見変わらぬように見えるが、葛飾区では10人応募のうち7人以上が入園でき、杉並区では10人応募のうち4人しか入園できないという違いがあるということだ。