前回の「『気持ちは分かる…でも』で子どもが話を聞くように」までで、「行動を具体的に表現する」「肯定的表現」「共感的表現」の3つの「言い方」について説明しました。最後は違う角度で、「環境」について説明します。
子どもに話を聞いてもらいたいなら、気をつけるのは「目線の高さ」
まずは実験です。誰でもいいので、大人の方1人(パパでも、ママ友でも、実家のお母さんでも、気軽にお願いできる人)と一緒にやってみてください。
いかがでしたか? 何となく、言わんとしていることが分かったでしょうか。
一番話しやすかったのはどれかというと、「実験1」のはずです。やはり、お互い向き合っていて、目線の高さ合っていると話しやすいですよね。逆に、「実験2」「実験3」の片方が立っていて、もう片方が座っている状態だと、話しにくくありませんでしたか?
それも、立っているときと座っているときとでは、話しにくさの質が違っていたと思うのです。座っているときは上を見て顎を出して受け答えをする格好の不自然さが気になる程度ですが、問題は立って話をするときのほうです。立っていると、色々とぎこちない動きをしがちです。膝を曲げて腰を落としたり、腰をかがめたり、手を不自然に動かし続けたり、と。
なぜ、こんなぎこちない動きをしたのかというと、座っている相手に威圧感を与えないように、もしくは相手に威圧感を与えてしまう状況の居心地の悪さから、自然と先ほど挙げたような動きをせざるを得なくなってしまうからです。大人同士なので、相手に威圧感を与えることは回避しようとするわけです。
ところが、これが自分の子どもに対してだったらどうでしょうか。そんなこと、いちいち気にしませんよね。相手は自分の子どもだし、日常生活の中で気なんか使っていられないし……。でも、子どもに対して、立ったまま話すとどうなるか。当然、威圧感を与えてしまうわけです。特に、子どもを叱るときはそうです。