ただでさえ、子どもは叱られるのが嫌で、抵抗したり、逃げようとするもの。それなのに、さらに威圧感を与えてしまうと、よりいっそうコミュニケーションは難しくなってしまいます。つまり、子どもと目線の高さが合っていない状態で、立ったまま子どもを叱るのは、負け戦を挑むようなものなのです。しつけを目的とするのであれば、伝わることが重要です。一生懸命叱っても、子どもに伝わらないのはむなしいですよね。

子どものそばまで行って、目線を揃える

 保育園や幼稚園で、先生達がさっと両膝を床に落として、子どもと目線を合わせて話す姿をよく見かけませんか? 先生達は自然にできていますよね。なぜ膝を落とすのか? そのほうが子ども達にメッセージが伝わりやすいからです。保育園・幼稚園にお子さんを通わせている親御さんは、園で先生達の膝を見てみてください。おそらくズボンの膝の部分が擦り切れていたり、色あせたりしています(おしゃれな園だと見られないかもしれませんが)。

 でも、膝を落として目線を合わせるのは、かつてはどの親御さんもされていたことなんです。 昔、しませんでした? 子どもがまだ1歳前後で歩きはじめた頃、子どもの前で膝を落として「どうしたの~? 太郎ちゃん。リモコン拾ったの? いいねえ。よかったねえ(よしよし)」みたいな。

 ところが、子どもが大きくなって「クソガキ化」してくると、みんなその頃のことなんてすっかり忘れてしまいます。そして、叱るときには、立ったまま、「こらあーーっ!」となるわけです。私も自分の子どもに注意をしたり、少し難しい話をするときは、子どものそばまで行き、膝を落として話します。子どもと距離が離れれば離れるほど、話は通じにくくなるし、立ったまま話しても通じにくくなるのです。

 だから、やることは簡単です。子どものそばまで行って、目線の高さを揃える。これだけです。特に叱るときは、この環境を整えることが大事なのです。