フリーとして最初に受注した仕事は設計業務でした。私は家で仕事できるタイプではないので、元の職場内に机も用意してもらい、フリーの身軽さで、自分の都合に合わせて出勤していました。図面を書いたり、議事録を書いたりという、オフィスの外でもできる仕事は家に持ち帰りました。新入社員から育ててもらった古巣ということもあり、働きやすい環境ではあった一方、リスクもありました。それは、その会社が発注する仕事量に波があり、フリーとして関わる以上、常に仕事をもらえるわけではない。仕事と仕事の谷間が生まれてしまいがちだということです。

 そんなとき、別の建築事務所から「音響設備に詳しい人が欲しい」という話をいただきました。当時はとにかく継続的に仕事を発注してほしかったので、その仕事を受けることにしました。前職と同じように都内のオフィスに席をもらい、基本的な業務は出勤してこなしていました。

 それから1年間はそのオフィスで勤務したのですが、その後、地方での公共ホールの建設現場に入る必要が生じてきました。会社から私を含めた合計4人が派遣され、足掛け2年を現地で過ごすことになりました。ラッキーなことに、その現場は、私の夫の実家から通える場所にありました。夫と話し合い、夫は東京の家に残し、私と娘は、夫の実家に居候させてもらうことになりました。

娘を連れて夫の郷里に赴き、設計監理を担う

 その町は東京とは状況が違い、子どもは幼稚園に預けることが主流で、保育園は希望者全員が入れる状態でした。娘は現地の保育園に難なく入園でき、義母も娘を見てくれるので、現場作業が深夜になっても心配はありませんでした。大変な仕事でしたが、義母のサポートで乗り切ることができ、ホールは無事に完成の日を迎えました。

 5年間の地方赴任を終え、東京の自宅に戻り、娘は小学校入学。目黒区の学童保育に入ることもでき、やれやれと思っていた2013年10月、長男を授かりました。2014年4月に向けて、8年振りの保活をスタートさせて驚きました。区内の保育園に入る厳しさが格段に増していたのです。

(後編へ続く)

画像はイメージです
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(ライター/阿部祐子、撮影/鈴木愛子)

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